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カストラート 〜傾国の歌劇(オペラ)〜  作者: nhhtn
学院編

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脳内会議:家族のプロファイリング


((……ねえ、『ミナミ』。父上と母上は……?ジュリアスのしていることを、知っているのかな……))


消え入りそうな声で、脳内の『私』――前世の名前である『ミナミ』に問いかける。

前世のドライな女子大生メンタルを持つ彼女は、フッと冷ややかなため息をついて、残酷なまでの現実を僕に突きつけた。


『お母様は間違いなくあなたの味方よ。あの時流した涙も、あなたの廃嫡への必死の反対も全部本物。あんなに愛情深くて心配性な人が、実の息子を殺す陰謀に加担なんてできるわけがないわ……』

((じゃあ、父上は……?))


『……トラッド伯爵は、限りなくグレーね。ジュリアスの陰謀の「主犯」ではないでしょうけど。だけど……もしかしたら薄々ジュリアスの不穏な動きに気づいていて、あえてそれを黙認した――つまり、間接的に一枚噛んでいる可能性は否定できないわ』

((そんな……嘘だ……っ!))


信用できる理由など一片たりともないのに、実の父親の悪意をどうしても否定したくて、僕は心の中で叫んでしまう。


『冷静になりなさい、カース。あの人は、子供を作れなくなったあなたを即座に「不良品」として切り捨て、修道院送りにしようとした男よ』

『辺境伯家……いいえ、貴族という組織にとって有益なのは、綺麗事の通じない冷酷で狡猾な、だけど圧倒的に「優秀な次期当主」。たとえ長男が消されるとしても、それが世間的にただの自然な事故や事件として処理され、家門がより強固に存続するのであれば……。あえて目を瞑るくらいのことは平気でする器でしょうよ』

((実家すらも、僕の安全地帯セーフティエリアではない……?))


ぐらりと、激しい目眩がした。

幼い頃の家族の幸せな記憶が、これまでの僕を形作っていた土台が、いま足元の大地ごと全て音を立てて崩壊していくような錯覚に陥り、僕は床に膝をつく。

世界から完全に孤立してしまったかのような冷たい感覚が、小さく蹲る僕の身体をじわじわと包み込んでいった。


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