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カストラート 〜傾国の歌劇(オペラ)〜  作者: nhhtn
学院編

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48/244

肩透かしの平和


それからというもの、僕は「明日にも世界中の歌劇場が一斉に爆破される『全世界同時多発テロ』が起こるのでは……」と、毎日戦々恐々として過ごしていた。

夜もろくに眠れず、アイマスクと耳栓を装備し警戒する日々。

しかし。

1週間が経ち、2週間が経ち——。

ついに1ヶ月が経過しても、国内外からそんな不幸な大事件の報せは、一向に聞こえてこない。

それどころか、「隣国の超高音カストラートが王宮劇場の記念公演で大喝采を浴びた」だの、「新しい華やかな歌劇が大ヒットして連日満員御礼だ」だの、風の噂で届くのは平和で煌びやかなニュースばかり。


「……あれ?おかしいな。世界規模の闇のテロ組織じゃなかったのかな。あはは、なぁんだ、僕の完全な杞憂だったみたいだね。あー、よかったぁ!」


僕はベッドの上にひっくり返り、ぽん、と自分の胸をなでおろした。

あの日、あの惨劇の現場で見た、大きな楽器ケースを抱えた謎のフードの『5人組』。

あれはやっぱり、学校のあまりに露骨な待遇差に爆発した楽器科の生徒たちが、出来心でちょっと過激な手段に出てしまい、その中で一番頭の回るリーダー格の1人だけが、今も上手く追っ手から逃げ延びているだけなんだ。


そういうことにしておこう!

うん、きっとそうに違いない!


危機は去ったとばかりに、すっかり緊張の糸を緩めた僕の能天気な思考――。

そこへ、脳内の『私』が、すべてを見透かしたような冷え切った声を突き刺した。


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基本毎日更新です。

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