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カストラート 〜傾国の歌劇(オペラ)〜  作者: nhhtn
学院編

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ミッシングリンク


事件の全貌は白日の下に晒され、犯人たちもついに捕まった。

しかし、僕の胸を支配する不気味なざわつきは、一向に収まる気配を見せない。


「……おかしいな」


僕は、没収されて机に並べられた証拠品と、拘束された4人の顔を見比べながら、ぽつりと呟いた。

王都の街中での入念な聞き込み調査で目撃されていた、あの怪しいフードの人物は、間違いなく『5人』だった。

しかし、ここで炙り出された実行犯は、各学科のバランスこそ綺麗に分散しているものの、合計で4人。

1人足りないのだ。


「ねえ、ミハイル。あと1人――『5人目』は、一体どこにいるんだろう……?」

「え? ……確かに。言われてみれば、あの夜に主犯格として動いていたと思われる、もう1人の姿がないな……。まさかこいつらは、ただのトカゲの尻尾、あるいは本命に足がつかないようにするための、ただの神輿に過ぎないってことなのか……!?」


僕たちの視線に気づいたのか、捕まった4人は互いに顔を見合わせ、何かに酷く怯えるように固く口を閉ざしてしまった。

その怯え方は、退学処分や実家への連絡を恐れているというよりは――もっと抗えない凶悪な何かに『口封じ』されているかのような、尋常ならざる様子だった。

脳内で『私』が、ゾッとしたように冷や汗を流しながら呟く。


『楽器科の4人を動かし、カストラートの全滅を狙った真の黒幕……。カース、これ、ただの学院内の格差や逆恨みなんてチープな問題じゃないかもしれないわよ。もっと政治的で、真っ黒な闇を感じるわ……!』

((ああ。もし、その『5人目』が、楽器科どころか、この音楽院の関係者ですらない、外部の人間だとしたら――))


僕たちは犯人を追い詰めたはずの教室内で、恐るべき巨大な影の存在に、背筋を凍らせるのだった。


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