不協和音の破片
僕たちの執念に満ちた泥臭い捜査の結果、ついに、あの最悪な事件の輪郭が一つに繋がり始めた。
【証拠一式】
学院内の一階トイレ:
ゴミ箱の奥底に不自然に押し込まれていた、火薬の焦げ臭い匂いがはっきりと残る頑丈な油紙の包みが複数。
事件現場(野外ステージの四隅):
飛び散った爆竹の破片に混ざるようにして落ちていた、真新しい金属片。
それは高級ヴァイオリンケースに使われる『特注の銀製蝶番』の破片。
さらに、煤に汚れた見覚えのある紋章入りの『弦楽器用の手入れクロス』。
王都の街中での聞き込み:
事件の直前――ステージで使用する楽器はすでに全て搬入を終えているはずの時間帯に、大きな楽器ケースらしき箱を妙に重そうに抱え、深くフードを被ってコソコソと動く『五人組の少年たち』の目撃証言。
「ヴァイオリンケースのパーツに、楽器用のクロス、か……。チッ、やっぱりな。本当に残念だけど……内部犯の可能性が絶望的なまでに濃厚だ」
ミハイルが込み上げる怒りを抑えきれない様子で、床をガンッと激しく蹴りつけた。
そう、あの日、地獄絵図と化したステージの上から僕が目撃した、楽器ケースを大切そうに抱えて闇に消えていった怪しい人影――。
あれは決して、パニックが見せた幻でも見間違いでもなかった。
僕たちと同じ学び舎に通い、同じ空気を吸っていた、音楽院の生徒たちの仕業だったのだ。
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