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カストラート 〜傾国の歌劇(オペラ)〜  作者: nhhtn
学院編

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二つの戦いへの序曲


僕はミハイルの華奢な肩に、そっと、けれど確固たる意思を込めて手を置いた。


「ミハイル。僕たちの歌を、ここで止めてはいけない。理不尽に夢を奪われた仲間たちの無念を晴らすためにも――僕たちは、もっと圧倒的に強くならなきゃいけないんだ」


ミハイルは乱暴に袖で涙を拭うと、鋭い光を宿した瞳で力強く頷いた。


「ああ、分かっている。犯人がどこのどいつであれ、絶対に尻尾を掴んで引きずり出してやる。楽器科の連中も、僕たちのことを『ただ守られるだけの温室育ち』だと舐めてもらっては困るな」


犯人は、本当にカストラートを逆恨みした楽器科の貴族生徒たちなのか。

それとも、さらにその裏で糸を引いている邪悪な大人がいるのか。

真相はまだ、硝煙の闇の中だ。

だが、僕はもう絶対に引き下がらない。

これ以上、僕たちの居場所を、仲間たちの未来を、奪わせてなるものか……!


僕と『私』は、脳内で今後の【絶対遂行ミッション】を刻み込んだ。


【新たな誓い】

1.徹底的な犯人捜索

現場に残された物証、そして事件当夜の楽器科の動きをミハイルと共に秘密裏に洗い出す。


2.音楽院への構造改革の要求

学長を再度、今度は退路を絶って徹底的に問い詰める。楽器科への適切な予算還元と、全生徒が納得する新たな評価システムの導入を力尽くにでも認めさせる。



馬に大事なものを奪われ、前世の記憶を思い出したあの日。

僕はただ『自分の保身のために』歌うことを決めたはずだった。

だけど、今は違う。

理不尽に夢と命を奪われた仲間たちのために。

そして、この狂った格差の連鎖が産む悲劇を断ち切るために——。

僕は前世の知識と、今世の辺境伯家としての『貴族の牙』を剥き出しにして、この音楽院の深く昏い闇へと切り込むことを決意した。


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基本毎日更新です。

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