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カストラート 〜傾国の歌劇(オペラ)〜  作者: nhhtn
学院編

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38/238

砕かれたガラス細工


「あ、熱い!熱いよぉッ!!目が!何も見えない……!!」

「耳が……何も聞こえない……!?い、痛いぃ!嫌ぁあああ!!」


特設ステージの上で、さっきまで純白だった衣装を赤黒く染めた少年たちが、血溜まりの中で狂ったように転げ回っていた。

爆竹の直撃を正面から受けてしまったクラスメイトの一人は、顔面に酷い火傷を負い、元来の愛らしい笑顔は見る影もなく、飛び散った破片で失明の危機に瀕していた。

また別の少年は、至近距離で炸裂した激しい爆発音により鼓膜を完全に損傷し、焦点の合わない虚ろな目で、だらだらと耳から血を流し続けている。


カストラートにとって、命よりも大切と言っても過言ではない『目』と『耳』と『容姿』。

あの守銭奴の学長が『最高級の投資対象』として、国家予算級の資金を注ぎ込み、ガラス細工のように大切に、過保護に育ててきたカストラートの卵たち。

それが今、この一瞬の悪意によって、無残にも叩き割られたのだ。


まるで、床に打ち捨てられた卵の殻から、生々しい卵白が滴るように——。

華奢な身体を散らばらせ、折り重なり、血を流して倒れ伏すクラスメイトたち。


大聖堂の前は一瞬にして阿鼻叫喚の地獄絵図と化し、血相を変えて駆けつけた医師や教師たちによって、負傷した少年たちが次々と運び出されていく。

僕とミハイルは本能的な回避行動によって奇跡的に難を逃れたものの、煤まみれになった白い衣装のまま、底知れない怒りと恐怖にガタガタと身体を震わせるしかなかった。

脳内の『私』が、これまでに聞いたこともないような、剥き出しの憎悪が籠もった声で低く唸る。


『……あり得ない。これはただの悪質な悪戯なんかじゃないわよ。明確な殺意――ううん、カストラートとしての「未来」を、文字通り物理的に潰しにきてる……!』

((ああ、分かっている。狙いは僕たちの喉、そして音楽家としての命そのものだ。……一体誰が、何の目的で、こんな残虐な真似を……!))


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基本毎日更新です。

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