歪んだ資金流動と僕の提案
『サントマリオ・ピエタ・カプアナ音楽院』の主な収入源は、王侯貴族のパトロンから支払われる斡旋料や投資だけではない。
むしろ、屋台骨を支えているのは別にある。
楽器科に所属する、名だたる上流階級の生徒たち――その実家から毎年納められる、目玉が飛び出るような『巨額の支援金』だ。
本来なら、我が子の教育環境や最新の設備投資のために使われるべきその大金が、なぜか『将来、何十倍もの富を生み出すプラチナの卵』である僕たちカストラートクラスの、特製ハーブティーや特注の高級羽毛布団へと、ロンダリングされていたのである。
「それはあんまりです、学長。楽器科の生徒たちが『自分たちの実家が納めた金が、カストラートにそっくり吸い上げられている』と気づけば、僕たちへの溝が深まるのは当然じゃないですか!」
僕はデスクに身を乗り出し、一気にまくしたてた。
「学長!せめて彼らの実家からの支援金だけでも、楽器科の設備拡充や、高価な楽器のメンテナンス費用として現地還元できませんか?そうすれば、理不尽な待遇差が目に見えて縮まり、彼らの不満も収まって精神的な対立も浅くなるはずです!」
僕としては前世の知識を総動員して、いたって真っ当な、敏腕経営コンサルタント並みにホワイトな提案をしたつもりだった。
これには脳内の『私』も、立ち上がらんばかりの勢いで大賛成している。
『そうよ! 現代日本の大学だって、学部ごとの予算の不透明さは暴動の元なんだからね!?ちゃんと予算を分配してヘイトコントロールしなさいよ、このアホ狸学長!!』
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