ライバルから親友へ
ミハイル君の真っ直ぐな言葉に、僕の脳内で『私』が歓喜の声を上げた。
『最っ高じゃない!馴れ合いなんかじゃない、お互いを限界まで高め合える「本物のライバル」の登場よ!逃げも隠れもしないストレートな宣戦布告、私こういう熱い子、大好物だわ!』
((うん、僕もだよ。ミハイル君、すごく素敵な目をしてる))
僕は差し出した手をそのままに、さらにぐっと笑みを深めた。
辺境伯令息としての仮面ではなく、一人の音楽を志す者としての本気の笑みだ。
「うん!望むところだよ、ミハイル君。僕も、音楽神に誓って、絶対に手加減はしない。お互い十年後の首席卒業を目指して、全力で競い合おう!」
僕の言葉を聞いたミハイル君は、張り詰めていた表情をふっと緩めると、僕の手を今度こそ力強く握り返した。
「ああ。よろしく、カース。僕たちの世代で、この音楽院の歴史を塗り替えてやろう!」
互いの手の温もりを通じて、音楽への情熱が交差する。
実家の陰謀なんて、王都の輝かしい光の中ではもはや瑣末なことに過ぎない。
神に与えられた(そして馬に色々と奪われた)この身体と、前世の『私』の魂。そして、目の前にいる最高の親友であり、ライバル。
これから始まる、十年間の地獄――もとい、至高の音楽生活が、今ここから華やかに幕を開ける!
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