↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【本編20万字完結】カストラート 〜傾国の歌劇(オペラ)〜【幕間更新あり】  作者: nhhtn
権力闘争編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

218/280

二つの平手


ガチャリ、と音を立てて扉を押し開けた瞬間、室内にいたミハイルが凄まじい勢いで床を蹴り、ツカツカとこちらへ近付いて来た。


「あ、ミハイル――」


僕が先ほど用意したばかりの、建前の言い訳を口にする間すら、彼は与えてくれなかった。


――パァンッ!!!


乾いた高い音が静かな室内に響き渡り、僕の左頬にじわりと熱い痛みが走る。

張り飛ばされた視線の先、鏡を見れば、僕の白皙の肌の上に、赤く綺麗な手形がくっきりと浮かび上がっていた。

僕がその痛みに小さく息を呑み、驚きに目を見開いた、まさに次の瞬間――。


――パァンッ!!!


今度は右側から、容赦のない衝撃が飛んできた。

ソファーから矢のように飛び出してきたアイシャが、その可憐な見た目からはおよそ想像もつかない鋭さで、僕の反対側の頬を綺麗に張り飛ばしたのだ。

左右の両頬を交互に、寸分の狂いもなく完璧に引っ叩かれ、僕は完全に目を白黒させてその場に立ち尽くすしかなかった。

脳内で『私』までもが、予想外の展開に『えっ……!?』と言ったきり完全にフリーズしている。

裏の世界を恐怖で支配し、世界を揺るがす教皇庁の権天使ともあろう僕が、いまや完全に形無しだった。


「心配したんだぞ、カース!!」

「心配したんですよ、本当に!!どれだけ私たちが生きた心地がしなかったか、分かっているんですか!?」


二人は肩を激しく上下させながら、怒りと、それ以上の安堵が入り混じった瞳で、僕を真っ直ぐに睨みつけていた。

あの日、不穏な殺気と狂気を纏って、何の説明もなく自分たちを部屋に閉じ込め、一人でどこかへ消えてしまった僕。

そんな僕のことを、彼らは怒るよりも前に、気が狂いそうなほどに心配し、ただ無事を祈り続けてくれていたのだ。


少しでも面白い、続きが気になると思ってくださったら、ブックマークや評価(☆☆☆☆☆)で応援していただけると大変励みになります!

基本毎日更新です。

今後もよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。