猟犬たちの葬列
墓標の前に立ち尽くしている間、背後に広がる広大な屋敷の方からは、未だに私兵たちが戻ってくる気配がなかった。
絶対的な支配者であった主のジュリアスが消え、不気味なほどに静まり返った辺境伯邸。
その奥深くで、彼らは今頃、欲望のままに金目の調度品や代々の家宝を貪欲に漁っているのだろう。
教皇の金で雇われ、僕の提示した報酬に目を眩ませ、ジュリアスを文字通り蹂躙し尽くした強欲な猟犬たち。
((……やっぱり、生かしてはおけないな。僕をいやらしく見つめていたあの巨漢も、僕たちの秘密を知る者たちも、全員ここで終幕だ))
『ええ、そうねカース。彼らはあまりにも汚れすぎているわ。美しい復讐劇の終章に、あの薄汚い男たちの存在は相応しくない。……屋敷ごと、すべてを燃やし尽くしてしまいましょう』
脳内で『私』が、浄化を求めるように、冷徹でいてどこか美しい声を響かせる。
((ああ。あいつらが金に目が眩んで中に閉じこもっている今が、一番都合がいい。僕たちを縛り、狂わせたあの忌まわしい過去の象徴を、すべて、灰にするんだ――))
僕は、傍らに控える闇医者へと静かに視線を向け、短く合図を送った。
「ドクター。最後の仕上げだ。始めてくれ」
「ククク……御意に、我が主様。これにて、トラッドの歴史に真の幕引きを」
アスクレピオが不気味に微笑み、あらかじめ屋敷の各所に緻密な計算のもと仕込ませていた、可燃性の薬剤と特製の火薬に次々と火を放った。
チリチリと導火線が焼ける音が、呪われた血脈の終わりを告げる秒読みのように、静かに響き渡り始めた。
少しでも面白い、続きが気になると思ってくださったら、ブックマークや評価(☆☆☆☆☆)で応援していただけると大変励みになります!
基本毎日更新です。
今後もよろしくお願いします!




