爆炎のプレリュード
私兵たちに合図し、ジュリアスを鉄の椅子へ、これ以上ないほど厳重に拘束させた。
頭部、胸部、そして四肢の先々に至るまで、厚い革帯と頑丈な鉄の枷でガチガチに固定していく。
「お前……何をする気だ……何を……ッ!」
ここで万が一にでも暴れられ、爆発の角度がずれて不意に死んでしまったり、拷問が失敗に終わったりしたら、せっかくのメインディッシュが台無しになり、興醒めもいいところだ。
完全に身動きを封じられたジュリアスは、ただ恐怖に身を震わせることしかできない。
僕は私兵に命じ、楽器ケースほどの大きさがある頑丈な木箱を、ジュリアスの目の前、わずか数歩の距離へと設置させた。
箱の中には、当代最高の闇医者ドクター・ピオがその悪魔的な知識と技術のすべてを注ぎ込み、この瞬間のためだけに調剤・調合した特製の火薬がぎっしりと詰め込まれている。
「……ひ、ひいいっ、やめ、やめてくれ……カース、兄上……っ!頼む、それだけは、それだけは許してくれ……ッ!!」
視界を遮っていた目隠しを外され、目の前に置かれた不気味な箱と、その導火線に火を近づける僕の姿を認めたジュリアスが、涙とよだれを撒き散らしながら、声にならない悲鳴を上げてガタガタと激しく震えだした。
かつて彼が音楽院の仲間たちに味合わせた恐怖が、今度は寸分違わず彼自身の身に降りかかろうとしているのだ。
チリ、チリ、と導火線が不穏な火花を散らし、黒い火の粉を上げながら箱の中へと吸い込まれていく。
「それじゃあ、ジュリアス。最高のショーの始まりだ」
僕は冷ややかに言い残すと、静かに、地下牢の分厚い遮蔽壁の影へと身を隠した。
『さあ、カウントダウンよ、カース……!3、2、1――』
脳内で『私』が爆破のタイミングを計った、次の瞬間。
―――轟ッ、!!!!!!!
狭い地下牢全体が激しく震動し、凄まじい爆風と熱波が遮蔽壁の向こうから押し寄せた。
鼓膜を揺るがす圧倒的な破壊音。
それに遅れて、肉や髪がジクジクと焦げる悍ましい臭いが、一瞬にして地下の閉ざされた空間を満たしていく。
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