飽食の天使
ジュリアスを捕縛し、この暗い地下牢に連行してから、早くも一ヶ月という月日が流れた。
かつての上品な衣服はボロ切れのように汚れ、鉄の椅子に強固に縛り付けられたジュリアスは、もはや生きているのか死んでいるのかも分からないほど変わり果てた姿で、ただピクリとも動かずにいた。
そんな弟の頭頂部を見下ろしながら、僕はふっと冷たい吐息を漏らした。
((……ハァ。そろそろ、この汚い泣き面を眺めるのにも、飽きてきちゃったな))
最初の頃に見せていた絶望の表情も、今やただの虚無へと変わっている。
反応の薄くなった玩具ほど、つまらないものはない。
『同感だわ。ただの喋らない肉の塊をいじめているみたいで、だんだん退屈になってきたわね。……でも、カース。まだ私たちの「メインディッシュ」が残っているでしょう?』
脳内で『私』が、退屈の後に訪れる極上の愉悦を予感して、ぞくぞくとするような声を響かせる。
((ああ、分かっているさ。忘れるはずがない。僕が必ず、この手で実行すると誓った――【神の処刑】がね))
僕と母上が、あいつらの身勝手な欲望によって味わわされた冷たく暗い地獄。
そして、かつてSMPC音楽院のあの忌まわしきチャリティコンサートの夜、ジュリアスの冷酷な謀略によって罪のないクラスメイトたちが犠牲になった、あの凄惨な爆発事件の恐怖――。
ジュリアスには、彼らが味わった炎と爆風の痛み、失われた未来のすべての絶望を、その肉体に、その魂に直接刻み込まなくてはならないのだ。
僕は組んだ腕をトントンと小気味よく叩きながら、光を失い濁りきった目で床を見つめるジュリアスに、地獄の終わりを告げるための静かな笑みを向けた。
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