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【本編20万字完結】カストラート 〜傾国の歌劇(オペラ)〜【幕間更新あり】  作者: nhhtn
復讐編

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奈落の開門


かつてジュリアスが、僕とお母様からすべてを奪い、傲慢に君臨していたこのトラッド辺境伯邸。

あいつにとってここは、自分を脅かす者など誰もいない安全な『自分の城』であり、愛する妻とこれから生まれる子供に囲まれた『幸福の象徴』そのものだったはずだ。

自分は世界の中心で、すべてを支配しているのだと、あいつは疑いもなく信じていた。

だが、その城の強固な防壁を内側から無残に切り崩したのは、他ならぬあいつ自身が命がけで残そうとした『家族』だった。


「さあ、行こうか」


僕が静かに告げると、背後でドクター・ピオが不気味に医療器具をカチャリと鳴らし、屈強な私兵たちがジュリアスの寝室の重厚な扉に手をかける。

安全だと信じ切っていた自分の城で。

最も愛し、トラッドの未来を託した家族に裏切られ。

泥酔から目覚めた瞬間、かつて『去勢された化け物』と見下し、嘲笑った不完全な兄の手に落ちている――。

ジュリアス。

お前は一体、どんな顔をしてその目を覚ますだろうか。

お前が現実を理解し、絶望に顔を歪ませ、惨めに命乞いの悲鳴をあげるその瞬間が――。

僕は今から、狂おしいほどに楽しみで、楽しみで仕方がなかった。


「開けろ」


僕の冷徹な命令と共に、ついに地獄の扉が音もなく押し開かれる。

暗闇の中に眠る哀れな獲物へ向けて、僕は最悪の復讐劇の幕を、容赦なく引き下ろすのだった。


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