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【本編20万字完結】カストラート 〜傾国の歌劇(オペラ)〜【幕間更新あり】  作者: nhhtn
動乱編

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脳内会議:祝福


「Fooooooooo!!満腹!ごちそうさま!!』


脳内で『私』が、まるで上質な恋愛小説を読み終えた読者のように、テンションMAXで大はしゃぎの声をあげた。


『身体的問題で子供が作れないなら、生涯の伴侶として魂を結びつければいい。……って、ちょっとカース!カイロネイアの象徴である神殿の、聖なる巫女の『乙女心』をピンポイントで射止めて、軍の暴走を抑えようなんて、おぬしも相当悪よのぉ(笑)」

((ち、違うよ!?政治的な下心なんて一切ない、これっぽっちもないってば!僕はただ、本気であの子を幸せにしたいと思ったんだ!!))


心臓がバクバクと音を立てる。

改めて言葉にすると、大胆なことをしてしまったと、今更ながら顔が真っ赤になるのが自分でも分かった。

そんな僕の必死の弁明を聞いて、脳内の彼女はふっと声音を和らげ、どこか姉のように慈愛に満ちた笑みを浮かべた。


『あはは、分かってるわよ。……よく言ったわ。本当に、最っ高にカッコよかったわよ。……からかいはしたけれど、ちゃんとあの子を一生幸せにしてあげなさいよ、カース。それが、あなたが背負った男の責任なんだからね』


脳内で茶化しながらも、誰よりも僕たちの幸福を祝福してくれる『私』の優しく温かい声。

僕は胸の奥が、じんわりと、心地よく解きほぐされていくのを感じていた。

そして、翌朝。

僕の妻となったアイシャは、昨夜までの暗い世仇を綺麗に削ぎ落とした、実に清々しい表情をしていた。

彼女は自らの足で、凛とした面持ちでカイロネイア軍の将兵たちの前に立つと、毅然とした声で広場に言い放ったのだ。


「イジェプタの御子たるカース様は、血で血を洗う不毛な復讐ではなく、さらに高潔なる真の勝利の道を指し示されました……。これ以上の無益な殺生は神の御心に背く行為です。神の意思に従い、無駄な虐殺はここまでにせよ!!」

「「「――っ!!」」」


ざわり、と将兵たちの間に衝撃が走る。

『聖なる巫女』による直々の言葉と、彼らが抱く僕への変わらぬ狂信。

二つのピースがこれ以上ないほど美しく噛み合ったことで、あれほど頑なだったカイロネイアの『帝国殲滅論』は、まるで奇跡的のように綺麗に収まったのだった。

最愛の伴侶という、世界で一番確かな光をその腕に得て。

本当の意味で、血塗られた破滅の独裁者の道を土壇場で回避した権天使。

少年は今、銃や大砲の冷たい轟音ではなく、胸に優しく流れる平和の祝歌キャロルを抱いて、帝国との『最終対話』の場へと、確かな一歩を踏み出す——。


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