三叉の矛
『ABC同盟』が誇る最大最高の大反抗作戦——『三叉の矛作戦』は、寸分の狂いもなく精密に実行に移された。
まず動いたのは海。
キャプテン・スカロ率いるブリタニア艦隊が、これでもかとばかりに苛烈な海上デモンストレーションを展開。
これに恐れをなした親帝国派フラネル軍は、パニックに陥り全戦力を沿岸部へと集中させてしまう。
その結果――帝国の西方国境は、完全にがら空きとなった。
その致命的な隙を、内戦の英雄ミハイルは見逃さなかった。
彼が率いる親王国派フラネル義勇軍とアルゴス陸軍の連合部隊は、電光石火の早業で帝国内部へと深く侵攻を開始。
この西側からの想定外すぎる大軍勢の出現に、今度は帝国の心臓である皇帝が恐れをなした。
皇帝は自らの身の安全を最優先で確保するため、各占領地に駐在させていた精鋭戦力のほとんどを本国へと呼び戻すという最悪の命令を下す。
これによって、王都を厳重に占拠していたはずの帝国軍主力部隊も、まんまと本国へ引き剥がされる形となったのだ。
『素晴らしいわ、カース!脳筋帝国は私たちの陽動作戦に完璧に引っかかったわね。これで奴らの牙城だった王都は、丸裸同然の「がら空き」よ!』
脳内で『私』が、勝利の盤面を前にして愉快そうに高笑いをあげる。
敵の防衛網は完全に崩壊した。
すべてが計画通り。
僕たちの指揮棒が奏でる楽譜通りに進んでいた。
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