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【本編20万字完結】カストラート 〜傾国の歌劇(オペラ)〜【幕間更新あり】  作者: nhhtn
動乱編

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崩心


それが、僕がずっと心のどこかで求めていた、実の父親の本心だった。

僕がどれだけ血の滲むような努力をしようと、どれだけ『ABC同盟』を導いて世界を動かそうと――この男にとって、カース・ディ・トラッドという存在は、最初から最後まで『最愛のジュリアスの行く手を阻む、目障りな障害物』でしかなかったのだ。

あまりにも痛烈で、一切の慈悲もない拒絶。

僕の心は、文字通り音を立てて粉々に砕け散った。


『カース……!聞く耳持っちゃダメよ!この男は完全に狂ってるわ!あなたは化け物なんかじゃない、自分の力で、その歌声で世界を変えてみせた本物の天使よ!だから……っ、お願いだからそんな男の言葉に傷つかないで……。カース、しっかりして……!!』


脳内の『私』が、今にも消え入りそうな僕の心を必死に抱き止めようと、涙声で叫んでくれているのがわかる。

けれど、それ以上に。

目の前が真っ暗になるほどの圧倒的な失意と絶望が、僕の全身の感覚を麻痺させていた。


——数日後。

僕はあれから言葉を失ったまま、魂が抜けたような虚ろな瞳で、父上が処刑台へと送られるのを見届けた。

ゴトゴトと重く揺れる囚人馬車の格子窓から、最後まで僕に「化け物め」と呪うような冷酷な視線を向けていた父上。

その首筋に今、冷たく煌めくギロチンの刃が、吸い込まれるように真っ直ぐ落ちていく――。


骨を断ち、生首が地面に転がり落ちる鈍い音が広場に響き———すべてが、終わった。


こうして、理不尽に実家を追われ、それでもなお家族を救うため、母上を助けるために始まった僕の戦いは。

肉親からの最悪の呪詛と拒絶という、あまりにも苦く、切ない結末を僕の胸に刻みつけたのだった。


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基本毎日更新です。

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