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【本編20万字完結】カストラート 〜傾国の歌劇(オペラ)〜【幕間更新あり】  作者: nhhtn
動乱編

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肉親との激突


帝国の仕掛けた一点突破は苛烈極まりないものだった。

だが、世界の海と富、そして狂信的なまでの信仰を結集した『ABC同盟』の圧倒的な物量を前に、いかに天才レオンハルトの戦術と言えど、冷酷な『多勢に無勢』の現実を覆すまでには至らなかった。

聖地である神殿を焼かれ、信仰のすべてを泥靴で踏みにじられたカイロネイアの民の怒りは、もはや誰にも止められない復讐の濁流となって帝国軍へと襲いかかる。


「レオンハルト殿下、ここは我らがお引き受けする!あなたは、あなた様だけは生きて帝国へお戻りくだされ!」


狂乱する民の、死兵と化した包囲網。

そこから宿敵である第三皇子レオンハルトを逃がすため、血煙と硝煙が立ち込める最前線で、絶望的な『殿しんがり』を務めたのは——。

皮肉にも、僕をカストラートとして体良く実家を追い出し、僕の人生が狂う原因となった一人――実の父親であるトラッド辺境伯、ルドルフ・ディ・トラッドその人だった。


「全軍、突撃ッ!『御子』などという偽物の神に、我がトラッドが誇る武の何たるかを骨の髄まで刻み込んでやれッ!!」


かつて僕を支配していた実父の、地を震わせる咆哮。

すれ違う運命の歯車は、戦場という最悪の舞台で、僕と血に塗られた過去を再び邂逅させようとしていた――。


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