脳内会議:音大生、親友の覚醒に震える
『ちょっとカース、いくらなんでもミハイル凄すぎない!?音楽院で一緒にキャッキャウフフしながら、高音を競い合ってたあの真面目な優等生が、いつの間にか「国家を揺るがす革命のカリスマ指導者」になってるんだけど!?成長フェーズすっ飛ばしすぎでしょ!!』
脳内の『私』が、衝撃のあまり目を丸くして絶叫する。
((うん……。でも、あのとき僕を帝国から逃がすために、わざと冷たく突き放してくれた瞬間から、彼はもう覚悟を決めていたんだね。僕の投げたパスを、これ以上ない最高の形で受け止めてくれたんだ))
親友の命がけの奮闘に、胸の奥が熱くなる。
こうしてフラネル共和国が完全に戦線離脱したことにより、無敵を誇ったローデンブルク帝国は一転して、三方から『ABC同盟』の巨大な鉄壁の包囲網と直面することとなった。
数においては、帝国側が圧倒的に不利。
このままアリ地獄のように包囲を縮められれば、いずれ干上がって死を待つのみ――そう冷静に戦況を判断した帝国軍の前線指揮官、第三皇子レオンハルト。
彼は、この窮地において、あまりにも冷徹で合理的な『一点突破による戦線離脱』を企てた。
帝国の飢えた獅子の牙が向けられたのは、包囲網の一角。
かつ、莫大な富と数千年来の極めて優れた技術を有しながらも、つい先日まで深刻な宗教暴動が起き、いまだ組織の足並みが最も揺れ動いていた国。
――そう。
僕が『神の御子』として君臨したばかりの国、『カイロネイア神王国』だった。
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