天使の決意
((……うん。僕、絶対に最高の歌を歌うよ。この暴動を鎮めて、同盟を本物にするだけじゃない))
『ええ、あの子のためにもね。この狂った「神への過剰な依存と自己犠牲」を終わらせて、世界を平和にして……いつかあの子たちが、自分の人生を自分の意志で選べるような、そんなまともな世界にひっくり返してやりましょう、カース!』
自らの過酷な運命を呪うのではなく、初対面の僕の理不尽な境遇に涙を流せる、どこまでも優しく気高い彼女。
僕は心の中で、彼女のこれからの人生に、神の呪縛などではない『本物の幸せ』が訪れることを切に願いながら、しっかりと前を向いた。
ジャラ、と純白の首元で、イジェプタ神の金の耳飾りが冷たく鳴る。
――ゴゴゴゴゴ……。
重厚な大神殿の石扉が左右へと開き、目の前には、夜闇を赤黒く焦がす松明の炎と、今にも暴動を起こさんと怒号をあげる数万の民衆がうねる、地獄のような大広場が広がっていた。
「さあ、始めよう――」
同じ深い闇を抱える少女の、命がけの想いをその胸に。
神の姿を模した美しき天使が、いま、狂乱の聖都へと優雅に舞い降りる。
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