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【本編20万字完結】カストラート 〜傾国の歌劇(オペラ)〜【幕間更新あり】  作者: nhhtn
動乱編

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聖都へ


キャプテン・スカロの快速私掠船に飛び乗り、不穏な暴動の熱気に包まれるカイロネイアの聖都へと急行する僕たち。

刻一刻と近づく決戦の地を前に、脳内の『私』が、かつてないほど真剣な声で語りかけてきた。


『いい、カース。前世の知識から、カイロネイアに伝わる古い賛美歌のメロディラインと、神聖古語の完璧な発音をあなたの脳にシンクロさせるわ。これから私たちが仕掛けるのは、現代で言うところの「異国の超大物アーティストが、現地の伝統宗教と奇跡のコラボを果たした」レベルの神バズ演出よ。理屈なんて全部吹き飛ばす神聖なソプラノで、あの怒り狂う信者たちの魂を正面からぶん殴るのよ!』

((うん……!ありがとう、『ミーナ』。彼らの神への純粋な信仰を、僕の歌で包み込んでみせる。絶対に暴動を鎮めて、この『ABC同盟』を本物の絆にしてみせるよ!))


船が港へ滑り込むと同時に、僕はカイロネイアの外交官と同じ式典用礼服を身に纏い、スカロたち護衛に守られながら聖都へと突き進んだ。

辿り着いたそこは、数万人の民衆による怒号と、夜闇を赤く染める松明の炎が渦巻く、一触即発の地獄絵図と化した大神殿の裏手。

包囲網の崩壊か、それとも新たなる神話の誕生か――。

世界を揺るがす天才歌うたいの真骨頂が、今ここで試されようとしていた。


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