神言神語
『……待って。彼らの怒りの本質って、「手続きが抜けたせいで、本当に神の意志が下ったのか信じられない」からでしょ?だったら、それを彼らに「証明」してあげればいいじゃない!法律や言葉の言い訳じゃなくて、もっと彼らの魂に直接届く、圧倒的な方法で!!』
『私』の遠回しな言い方は、僕には理解が難しい。
現代日本流のコミュニケーション方法なのだろうか。
もう少し直接的に話してほしいなあ、などと考えながら聞き返す。
((え? 魂に直接届く方法って……一体何をするの?))
『決まってるじゃない、あなたの最大の武器よ!「カイロネイアの言葉で、最高神イジェプタを熱烈に讃える聖歌」を、権天使のあなたが聖都のド真ん中で歌い上げるのよ!』
ついに核心を突いた『私』の言葉。
そしてそれは、鈍感な僕にも一瞬でその効果を認めさせるものだった。
「――それだ!!」
王国やアルゴスが国を挙げて認めたロムルス教会の『権天使』の筆頭が、暴動の渦巻く敵地に恐れず降り立ち、カイロネイアの神聖古語を完璧に操りながら、彼らの最高神イジェプタを熱烈に讃える神聖な賛美歌を歌う。
それがどれほど宗教的に、そして政治的に強烈なインパクトを持つことか——。
「大使閣下!すぐに聖都の大神殿の広場を、民衆が集まる最高のステージを用意してください。僕が、カイロネイアの民の前に立ちます!」
「カ、カース殿!?しかし、今そんな暴動のド真ん中に行けば、熱狂した暴徒たちに何をされるか……!」
青ざめて止める大使の手を、僕は優しく、しかし力強く握り返した。
「大丈夫です。僕の喉には、神から与えられた歌声がある。彼らの熱い『神への愛』、僕がこの歌で、本物の奇跡として証明してみせます!」
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