怒り狂う民
案の定、この『独断専行』を知ったカイロネイアの熱狂的な国民や保守派の神官たちは怒り狂った。
「異教のブリタニアや、カストラートを狂信的に崇めるアルゴスなどという軟弱者どもと、正式な手続きも踏まず勝手に同盟を結ぶなど言語道断!」
「上層部は神の律法を裏切った売国奴だ! 即刻、同盟を破棄せよ!」
聖都のいたるところで、同盟に反対する神王国始まって以来の大規模な宗教暴動が発生。
過激化した暴徒によって神王国の政府機能は一瞬にして停止に陥り、せっかく結成されたばかりの『ABC同盟』は、帝国と戦う前に内側からガタガタに崩壊しかけるという致命的な危機を迎えてしまったのだ。
((うわあぁ……!国家のインフラ問題の次は、今度はガチの『宗教暴動』だよ!せっかくレオンとジュリアスへの完璧な包囲網が完成したのに、これじゃ戦う前に身内で瓦解しちゃうよ……!))
あまりの急転直下に、僕は胸の前に抱えた枕に顔をうずめて、脳内で叫ぶ。
『前世の歴史的に見ても、宗教とドグマが絡む暴動が一番厄介なのよね……。あの熱狂的な信者たちにとって「手続きの不備」は、神への最大の冒涜だから。生半可な政治的・経済的な正論じゃ、火に油を注ぐだけで絶対に鎮まらないわ』
脳内の『私』もさすがに神妙な声を出した。
――だがその時。
絶望に暮れる僕の脳内で、『私』がポンと小気味よく手を叩くような、邪悪……いや、最高に冴え渡った閃きの声を上げた。
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