熱狂が生んだ同盟
ブリタニア王宮で繰り広げた、いつ首が飛んでもおかしくない緊迫した命懸けの駆け引きとは対照的に、アルゴス=カスティエラ連合国の上層部の対応は驚くほど柔軟――というか、むしろこちらが引くほど前のめりだった。
「宿敵ブリタニアと手を組めだと?フン、本来なら不愉快極まりない話だが……神の歌声を、至高の芸術を冒涜するローデンブルク帝国の横暴は、我らアルゴスとしても断じて看過できん!」
「何より、カース様がそこまで仰るのですもの!我が国の誇る無敵艦隊は、喜んで神の歌声を護る天使の盾となりましょう!」
国王陛下と妃殿下は、僕の「祖国を救いたい」という、前世の演技力も総動員した切実な懇願に完全ノックアウトされていた。
もちろん、背後にローデンブルク帝国という『大陸の覇権を狙う巨大な怪物』が迫っているという、現実的かつ致命的な危機感も手伝ってはいる。
けれど、かつて海上で血で血を洗う諍いを続けてきた宿敵との同盟に対して、眉をひそめるどころかむしろ「聖戦の始まりだ!」とばかりに熱狂し、抵抗する様子は微塵も見せない。
『ちょっとカース、オタクの行動力って本当に世界を救うのね……!政治的な根回しを全部「推しへの忠誠心」で上書きしちゃったわよ、この人たち……』
脳内の『私』が、呆れ半分で喝采をあげる。
結果として、交渉は恐ろしいほどのトントン拍子で進んでいった。
単なる「お互い攻められたら助け合おう」という表面上の軍事同盟に留まらず、最新鋭の武器や物資の融通、ブリタニアが喉から手が出るほど欲しがっていた造船技術の提供まで含めた、『全面協力』の約束を、僕はただのハッタリとブランド力だけでもぎ取ることに成功したのだった。
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