キャプテン・スカロの『顔パス』
僕たちが港から王宮へと続く巨大な城門へ近づくと、当然のように、物々しい漆黒の鎧に身を包んだ近衛兵たちが、交差させた槍で僕たちの行く手を遮った。
しかし、先頭を不敵に歩くスカロがニヤリと下品に口角を吊り上げ、懐から一枚のくたびれた金色のメダルを提示した瞬間――衛兵たちの態度が一変した。
「――っ! 失礼いたしました、キャプテン・スカロ!どうぞお通りください!」
ガシャリ、と一斉に槍が引かれ、直立不動の敬礼で見送られる中、僕たちは一切の検問なしで難攻不落の城門を通過した。
((すごいや……。スカロって、ただ口の悪い荒くれ者じゃなかったんだね))
『顔パスなんてレベルじゃないわね。あのメダル、女王陛下から直々に裏の全権を委任されている最高位の証よ……。国家公認の大物私掠船長だなんて、とんでもない超優良コネクションを掴んじゃったわね、私たち』
脳内の『私』が驚き半分、歓喜半分で声を弾ませる。
事実、スカロのその絶大な口添えの威力は凄まじかった。
本来ならば数ヶ月、あるいは数年は待たされるはずの『女王陛下との謁見』が――信じられないことに、その日のうちにセッティングされたのだ。
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