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【続編】命乞いから始まる魔族因縁記  作者: 月森 かれん
第1部 テナシテ捜索編

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5/5

5話 魔王城を訪ねる

 腹ごしらえを終えた俺達は、魔王城に向けて歩みを進めていた。


 こんな短期間で再びザルド達と冒険に出ることになるなんて、思ってもみなかった。

 無言で進んでいるけど気まずいというわけではなく、皆どこか嬉しそうに口元を緩めている。


 (とはいえ、俺は1回でも死ねば終わりなんだから油断はできないな)


 モンスターもまだ活動はしているものの、魔王と敵対していた時よりはかなり大人しくなっていた。

 種類や性格にもよるが、道端で出会ってもこちらから仕掛けない限りはそのままスルーすることも増えていた。 



 魔王城の影を肉眼で捉えられるようになった時。

 城門より前の大地に黒い塊が積み上げられていて、その頂点に誰かが座っている。

逆光で誰かはわからないが、こんなことをする人物なんて1人しかいない。

その人は俺達に気づくと、黒い塊から飛び降りて気さくに声をかけてきた。


 「ヤッホー、アンタら。そろそろ来ると思ってたぜー」


 「出たわね!」


 「そりゃ魔王城付近だもん。出るわ〜」


 デュークさんはヘラヘラと笑いながら当然のように俺達との距離を詰めてくる。だけど、服にはところどころ返り血がついていて、鉄臭い。

3人分空いていても、漂ってくる匂いに思わず顔をしかめた。


 「な、なんでそんなに血だらけなんですか……?」


 「待ってる間ヒマだったからさ〜。モンスター共狩ってた」


 言われて黒い塊の山をよく見ると、突撃バッファローやエインシェントオーク等のモンスターの死骸だった。

しかもほぼ真っ二つ。

 だけどそれを見た俺は首を傾げる。


 「霧になってない……?」


 「カルム、それどういうこと?」


 「この辺のモンスターは魔王の暗示がかかっているんだ。強い代わりに倒したら霧になって消えるはずなのに」


 「あー、暗示ならマーさんが解いたぜ。少なくとも敵対関係じゃないんだから、必要ないってな」


 そう言いながら、さらに近づいてこようとするデュークさん。

するとアリーシャが困惑した顔で、手で制止する。


 「あんまり近づいてこないでください……。鉄臭いの苦手で……」


 「アンタ、ヒーラーなのに?」


 「ヒーラーでも血が苦手な人もいるの!アリーシャは回復はちゃんとできるから問題ないのよ!」


 「へー」


 デュークさんは明らかな生返事をすると、その場に留まった。

 ザルドがアリーシャ達を庇うように立ちながら、デュークさんに尋ねる。


 「それで、お前はわざわざ俺達を待っていてくれてたのか?」

 

 「おう。マーさんから頼まれてなー。

そのまま乗り込んできたら、敵襲と勘違いする魔族もいるだろうからって」


 「そこは魔族なのね……」


 「マーさんも一応全体には知らせてるんだけどさー、聞く聞かないは個人の自由なんだわ。破ったからってペナルティあるわけじゃないしー」


 「それ、知らせた意味あります?」


 思わず尋ねると、デュークさんが一瞬で距離を詰めて顔を覗き込んできた。

身を引こうとしたが、いつの間にか手首を掴まれていて動けない。


 (相変わらず早ぇ!?)


 「俺はあると思うぜー。頭の片隅にでも入れておいてくれたらってやつだろ」


 デュークさんは満面の笑みで言うと、俺から少しだけ顔を離した。

しかし目は逸らさず俺の手は掴んだままで、離す気はないらしい。


 「おかえり〜、モトユウちゃん」


 「た、ただいま戻りました……?」


 つい反射で返してしまった。

ザルド達はどうリアクションをとっていいのかわからないようで、困り顔で俺達を眺めている。

 

 「っていうかおかえりって何よ……」


 「だってモトユウちゃんは魔王城初めてじゃないんだから、おかえりだろー?」


 「それを言うなら俺達も初めてじゃないんだが。

厳密に言えば3回目……」


 「………チッ」


  舌打ちしたデュークさんにみんなの視線が集まる。 

 するとフローが不満そうに言い放った。

 

 「悪かったわね、私達も「おかえり」で」 


 「別にー」


 デュークさんは明らかに不満げに言うと、あっさり俺の手を離して死体の山の側まで移動する。


 「じゃあ、とっととマーさんとこ行こうぜー。

ここでずっと話してるのもなんだしよー」


 「あんたが話引き伸ばしてるんでしょ!」


 「ヒハハッ!そりゃ悪かったな」


 悪びれもなく言うと、デュークさんはスタスタと歩き始めた。

俺達も戸惑いながら後を追う。


 「な、何なんでしょうか?波が激しいというか……」


 「隠し事でもしてるんじゃないの?」


 「カルムはどう思う?」


 不意にザルドから尋ねられて、考え込む。


 (アリーシャの言う通り、波が激しいのは確かだ。でも隠し事はしてない。

俺の勘は何も働いてないし。となるとやっぱり――)


 「「おかえり」の対象が俺だけじゃなかったから、少し機嫌が悪いだけだと思う」


 「そんな事で!?」


 3人とも大げさに驚いたが、俺は真面目な顔のまま話を続ける。


 「デュークさんはそんな事で機嫌悪くなるよ。

俺、なぜかめちゃくちゃ気に入られてるから……」


 自分で言ってて、気分が下がってきた。

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