第八話
―Side ゼン―
やっと見つけることができた。十六年もかかってしまったが…
あの時の賢者の暴走は失敗でしかなかったが、しかし今思えば成功だったのかもしれない…
「愚者の力を持つ賢者の子か…」
まだ未熟でしかないその力だが覚醒さえすれば、いずれ大きな力となろう。
だからこそ手に入れたい…
「すべての世界の平和と安らぎのために…」
―Side Out―
『だから、明日会いに行きますね』
「―ッ、ハァ…」
寝ていた頭が一瞬にして冴える。昨日のを思い出してしまったようだ…
「忘れられなかった…」
あの男の言葉が頭を離れない…
「どういう意味なんだ…」
わからない…
今の時刻を確認すると、現在六時前を指している。
「はやすぎだなこれ…」
二度寝するには頭が冴えすぎているので、気分転換と汗でグショリの体を洗い流すためシャワーでも浴びることにした。
浴び終わったあと部屋に戻り、学校へ行く準備を済ませ学ランに袖を通す。
そのあと居間にいくと、肩にかかる綺麗なストレートのセミロングが寝癖で大変なことになっている姉ちゃんいた。
「おはよう、姉ちゃん」
「お、おはよ・・・う・・・」
「相変わらず朝弱いよな」
「うるさいなあ…」
声に覇気が無い。
姉ちゃんはちっちゃい頃から朝に超弱いのだ。
「……」
「どうした」
「学ランか…。あんたの高校生姿って、昨日初めてみたんだよね…」
「ホントだ」
姉ちゃんが出て行ったのって姉ちゃんが卒業して次の日だったからな…
いつのまにか姉ちゃんが俺に近づいてきて頭を撫でてきた。
「いつのまにかこんなにおおきくなっちゃって~。このこの~」
姉ちゃんが頭を撫でてくるが撫でるのがはやすぎて熱い!
「姉ちゃん熱いっ、熱いから!」
俺は姉ちゃんの手を払いのける。
「え~、けち・・・」
まだ寝ぼけてやがる…。こっちはハゲてないか心配なのに…
「顔でも洗ってさっぱりして来い」
「う~」
そう言うと姉ちゃんは洗面所に向かっていった。
俺も飯食って学校行くか…
「午前中だけなら休みにすればいいのに」
隣で歩く空矢がそう呟く。
今は橋を渡ってちょっとしたところ。
何時もどうり空矢と橋でおちあい学校へ向かっている最中だ。
「そうだな…」
「どうしたんだ、元気ね~な」
「ちょっとな…」
昨夜の男の言葉が未だに忘れられない。
ひどく不安な感情が込み上げてくる…
「おいっ、どんどん顔色悪くなってんぞ」
「大丈夫だって…」
「…今日は午前中授業だけだけどムリはすんなよ」
「ああ、わかってる…」
土曜は午前の授業だけで、今日みたいな日にはうれしい。
気がつけ校門が目の前にあり、そこには…
「光道・・・」
光道が立っていた。
「光道なんのようだっ」
空矢が警戒している。なぜに…
「変わり者に用はない。用があるのはそこのヘンなヤツ」
俺がヘンなヤツって…人のこと言えんのかよ。
あと空矢が変わり者ってどういう事だ…
「活生だって・・・」
「ええ、だから貴方に用はありません。間道くんついてきて」
「・・・わかった」
光道が背を向け俺を誘導する。
用とは昨日の事だろう。それならこっちも聞きたいことがある。
俺は光道のあとをついて行こうと・・・
「あいつに関わるなと言ったろ活生!」
空矢が声を張り上げ俺に言う。
「すまんな空矢。・・・けど気になることがあるんだ」
「まて活生っ!」
俺は空矢に謝ると光道のあとを追った。




