第六話
空矢とゲーセンで別れて、今は家に向かって総菜町を歩いている。
「今日はホントつかれた…」
俺も空矢のこといえないや…
今日もいろいろありすぎてつかれた…早く言えに帰ってゆっくりしたい…
「今日の晩飯なんだ―っ」
晩飯のことをかんがえていると、とてつもない恐怖を感じた。
ヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイ
逃ゲロ逃ゲロ逃ゲロ逃ゲロ逃ゲロ逃ゲロ
俺の中の防衛本能が理性に語りかけてくる。しかしその本能を上まわる恐怖によって体を動かすことができない―――
「こんばんは、間者さん。やっとみつけた…」
「ヒッ」
右隣から声がする。右を向くと身長が180cmぐらいのスーツを着た男が俺を見ていた。
「折角会えたんですし話でもしたいんですが・・・、今日はちょっとムリなんですよね~。だから、明日会いに行きますね」
男は走り出した。果てしない闇夜の中へ・・・
「バイバ~イ」
「―ッ、ハァハァハァ…」
男が消えて見えなくなると、体の自由が戻ってきた。
「なんだったんだ…」
誰なんだアイツは…
「見失った…」
「だ、だれだっ!」
後ろから声がしたので、振り返って威嚇する。
「「えっ…」」
そこにいたのは…
「光道…」
「お隣さん、どうしてここに…」
息をきらせた光道が立っていた。
「ねえ、さっきスーツを着た男を見ませんでした」
「え…」
光道が険しい形相で聞いてきた。
「前に走っていった…」
「ありがとう。礼を―」
光道が前方の暗闇を見つめる。すると二匹の赤い目の黒い狼が現れた。
「なんだあれ…」
「愚狼…。こんなときにっ」
「「グルルルルルルルル…ガアッ!」」
狼どもが襲い掛かってきた。
「じっとしていてっ!」
光道はそう言うと鞘に納まっている一振りの洋剣に手を…剣だってっ!?
「ハッ!」
光道が振るった剣によって狼共は一瞬にして真っ二つに斬り裂かれた。
「訓練用のショートソードじゃ簡単に折れちゃうか…」
狼たち傷から鮮血を垂れ流し、しばらくすると塵となって消えうせた…
「なんなんだよ一体…」
「お隣さん…、わるいんですけど見られた以上貴方の記憶を消さなくてはいけません」
「えっ…今なんて言ったっ!」
光道が俺の頭に向かって手を向ける…
「記憶消去――くっ!?」
「うわっ!」
「なんなの…」
光道の手より放たれた光が俺の頭に当たると、弾かれそして粒子とかした。
光道は混乱している。今なら…
「ま、待ちなさい」
逃げようとすると目の前に何かが通過し、俺は尻餅をついてしまった。
「なに投げやがったっ」
「ナイフ」
投げられたのは小さな投げナイフだった…
光道はどこからかサバイバルナイフを取り出すと俺に向けてくる。
「どうするつもりだ…」
「記憶を消せないのなら殺すしかありません。お隣さんは死人に口無しって諺、知ってますか」
殺されるのか俺は…
(ふざけるなっ!)
「殺される筋合いは無いっ。それと、俺の名前は間道活生だっ!」
俺は光道に声を張り上げそう言った。
「まどう…。貴方は間道実菜の親族かなにかですか」
光道はいきなり一年前から連絡の取れない俺の姉の名前を出してきた。
「えっ…、姉だけど…」
「ならいいです。それでは…」
光道はそう口にするとやってきた方へ歩き出し、闇の中へ消えていった。
「……」
今日はいったいなんなんだ…
厄日か不幸か、それとも呪いとか祟りとかのなんかかっ
「早く家に帰ろう…」
帰って寝て忘れよう…
「ただいま~」
「お帰り。ついでにひさしぶり~」
家に無事着き、二階にある部屋に上がろうとしたとき居間の方から誰かがきた…
「姉ちゃん…なんで」
一年前から姿をくらました俺の姉貴が目の前にいた。
―Side セイム―
「なんだったのあれ…」
今はお隣さんと別れてから一人で暮らしているマンションに向かっている途中。
さっきの事について考える…
私たち 賢 の力に属するモノの扱う魔術…賢術の記憶消去や改竄は 愚 に属するモノの扱う愚術には劣るものはあるが、それでも魔術耐性が三つの世界の中でもっとも弱い普人の…ましてや一般人ともなれば、効いて当たり前の術である。
それなのに彼は私の術式を何もせずに弾いたのだ。普通では考えられない…
「それに間道って…」
それは私の所属する部隊の副長の苗字と同じであり、そして彼は彼女を姉といった…
「姉さんか…今頃どうしてるんだろ…」
はなれ離れになった姉のことをおもいだしてしまった。
「間道活生」
なぜか彼のことが気になってしまう。
「副長に連絡しないと…」
私は携帯を取り出した
―Side Out―




