第十六話
第三~十五話を大幅に修正しました
「何時になったら着くんだ・・・」
次の日の朝早くから姉ちゃんはある場所へ向かうため何処からか車を用意してきた。
今日を含む一週間の間そこで力の使い方を学ぶそうである。
車に乗ってから都心部もはなれもうかれこれ五時間くらい山道をドライブしている。
てか何時の間に免許取ったんだよ・・・
「あと一時間ちょっとよ」
「一時間・・・マジで!?」
うそだろ・・・腹も減ってきたしこんな狭い車の中にあと一時間もいたくない。
それにいい加減暇で仕方が無い。
携帯は圏外で使えねーし、緑あふれる木々や林は見飽きた。
「その間どーしろと?」
「そうね・・・聖夢、活生に異世界の事とかいろいろ教えてあげて」
「わかりました」
「・・・・・・」
いつのまにっ!・・・最初からいましたね。
最初からいたのは知ってたけど全然喋らないからきずかない振りしてた。
「なんで来たんだ?」
「副長に同行の命令も受けたのと、これからの私の任務が貴方の護衛だからよ」
「護衛って・・・」
「力を覚醒させたあんたはこれからいろいろな者に狙われる恐れがあるからよ。これは上からの命令」
姉ちゃんがそう答えた。
「俺を狙ってくるヤツって?」
「これからの説明に含まれています。ミジンコでも分かっるように説明してあげましょう」
ミジンコって言葉は頭にきたが、聖夢はミジンコでもわかるように丁寧に説明をしてくれた。
どうやら俺達がいるこの普界とは別に二つのそれぞれ異なった文化や魔術を持つ世界があるらしい。
一つは賢界と呼ばれる機械や科学の発展した賢人達の世界。
魔術の特性は物体への干渉に特化し、そのほか魔術の放射などの操作などを得意としている。その反面、肉体に干渉することにはいささか愚術に劣るものがあるとか。
もう一つは愚界と呼ばれる野生の環境を保ち、自然と共に生きる愚人達の世界。
肉体や生物などの干渉に優れ、肉体の強化や変化や魔術属性の付加などだけではなく、治癒や精神干渉などにいたっては賢術を上回るほどだそうだ。
ついでにここ普界は双方とは違う空間への干渉などが得意とされている。
元々賢界と愚界は一つであり、その時から対立関係にあるそうだ。
どちらも深く攻め入る事ができぬほど戦力は拮抗し、結果どちらが最初に普界を落とすかによってこの闘争の勝敗は決するだろう。
だが普界には他の世界からの干渉を防ぐシステムと呼ばれる力によって、人が乗り込む等の直接的な干渉ができない。
この事により現在は普界に干渉する方法は二つしかない。
まず一つ目は普界に霊的人格を召喚しそこにある物体や生物に憑依するという方法。
しかし、この方法では術者の魔力が底を着くまでが限界であり、その時に憑依対象物が破壊もしくは死亡すると術者も死ぬ。
すぐに解けばいいのだがシステムの力によって時間をかけなければそう簡単には解除できない。
例えるなら鶏に憑いたまま料理されたり、おもちゃのロボットに憑依したままごみ処理場でペチャンコとかになるケースなどがあるとか。
優劣を上げるなら愚人は普人にも憑依できるが賢人は物体にしか憑依できないという点だけとのことだそうだ。
そして二つ目は混血であるハーフ。
ハーフは二つの異なる血を持つことでシステムの選別に誤差を生ませているのだと考えられている。
そのため普界との出入りが可能としている。ゆえに双方はハーフを作ることに躍起になっている。
ハーフを作る方法は大まかに言えば二つで、双方の世界に神隠しと呼ばれる怪奇現象によって迷い込んだ者との間に子どもを作るか、憑依先で子どもを作るか。
前者はどちらの世界もできるが後者は愚人にしかできないため愚の優勢の理由の一つにあげられる
次に魔術の話。
魔術と言うのはすべての奇跡を起こす術の総称でそれぞれの世界の術によって呼称が異なる。
賢界が使う賢術、愚界が使う愚術、普界が使う普術。
賢術と愚術はさっき説明したとおりだが、普術はちょっと他と違う。
普術を使うには普刻と呼ばれる一種の魔術刻印を使わなくては発動させる事ができない。
昔は魔術の存在はごく普通であったのだが、普界の人々が魔術に頼らない生活を送ったために人々の魔術に対する力が弱まり、それに科学や機械に頼ったがゆえにその弱体化は急激に進んだため、魔術文化が衰退したため使えなくなったのようだ。
なので普術は言わば昔に使用した術の再現をしているのだ。
使用するには、付加したい場合はその物体に、放射したい場合は飛ばすものに、肉体の強化をしたいのならその部分に刻印を刻みこみ魔力を流して発動させなければならない。
使用はかなり面倒なのだが普人には普刻なしに使用できる魔術が一つある。
それが門と呼ばれる魔術。普界にのみ存在するシステムより力を肉体に取り込み、あらゆる能力を底上げする魔術。
それに加え、普の特性である空間干渉を活かして空間を作ったり、高位の術者なら空間転移まで使えるらしい。
ん、でも・・・
「俺みたいヤツはどうなんだ?」
俺は賢者と愚者のハーフだから使える術とか特性とかが何なのかが知りたい・・・つか気になる。
「賢人と愚人のハーフは間人と呼ばれ、術ならどちらも使えます。また間人は普界に直接干渉することができます。ですがこの世界にいる間人は数が少ないためその能力や特性などは明らかになってはいません」
「この世界にはって事は間人達の世界が在るって事なのか?」
「それは・・・」
聖夢はいきなり黙り込んでしまった。
それを引き継ぐ形で姉ちゃんが替わりに説明する。
「在る筈なんだが見つかっていない」
「在るのに見つかっていない?」
「間人達はこっちへはシステムの干渉を受けずに入ってこれる。だがその方法のすべてが神隠しによるものだ。だからこっちに来てしまった間人はどうやって来たのかも分からない。帰る場所は知っているのに帰る道を知らない」
「だから知っていても間界を見つける事が出来ないの」
突然聖夢が口を開いた。
「どうやって来たのかもわからない。いつの間にかここにいたの・・・」
「聖夢・・・」
聖夢の言い方からするとたぶん・・・
「ああ、聖夢は間界から神隠しによってこの世界に来たんだ。この組織にいるのもそのためだ」
「・・・・・・」
それ以降、車を降りるまで誰も口を開くことはなかった。




