第十二話
「何処だ乱土おおおおおおお!」
三枝緑地に着いた。
緑地は新都側にあり、緑が沢山ある広大な公園みたいな所だ。
「ここですよ」
捜していくと緑地の中心に位置する場所に乱土がいた。
「お前……!」
「どうですか。こっちに来る気になりましたか」
「なんで母ちゃんを殺したんだっ」
「…ある昔話をしましょう――」
乱土が語る。
「今から大昔のこと、この世界とは別の世界が一つだった頃のこと。二つの国の戦争がいちばん酷かったとき、ある二人の力を持つ者が現れた。賢国の王女である賢者と愚国の王の愚者。ある戦争で賢者は愚者に捕らえられ、犯された。その後世界が三つに裂かれ、その時に賢者は愚者の手より逃げ去り、賢界へ帰る事に成功した。しかし数ヵ月後、賢者は内に巣食う闇に蝕まれていき、ここ普界に永遠の眠りについた」
「……」
それと何の関係があるんだ…
「ここからが重要なんです。しっかり聞いていてくださいね」
乱土は再び語りだす。
「そしてその眠りを十六年前、俺が起こした。しかし賢者の力を得る前に暴走し、それをお前の親に止められた。それがあの夫婦を狙う理由だ」
「意味わかんねーよ、お前の話…」
仕返しだからって殺されていいわけなんかねーよ。
「別に解らなくてもかまわなさ。…でも解ってもらわねーとならない話がある」
「なにを…」
「お前は愚者と賢者の子どもだってことだよ」
「えっ―――――――――」
なんだよそれ…俺は父ちゃんたちの子どもだ…
「お前は知らないようだが、お前は十六年前に母体である賢者から産み落とされた愚者の子ども"間者"なんだよ」
「うそだ……そんな事………」
俺は十六年間普通に生きてきたんだ……普通に…――十六年――
「十六年前の二月十三日…」
その日は俺の誕生日。
「ああ、その日賢者は目覚めたんだ」
「……………」
頭がおかしく…真っ白になんてくる。
俺は父ちゃんたちではなくて昔に生きた人たちの子どもだってことなのか…
「……それにしても…あの女を殺したときはメッチャすかってきたぜ。ははははははは~!」
「ダマレ……」
真っ白な頭が黒く塗りつぶされていき、胸が熱くなって苦しくなってくる。
「もう一度言おうか…メッチャすかってきたっ!」
「ダマレエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエ!」
その苦しさを―俺は胸から引き抜いた。
「黙れ乱土おおおおおお!」
「凄いなこれは…。迸る殺気、止まることのない魔力、そして愚者の持っていたという愚剣ヘルっ!」
気が付けば、俺は右手に剣を持っていた。
真っ黒なロングソードで、派手な装飾などはなく、あるのは鍔にある黒い宝石くらいだ。
だけど俺にも解る…この剣にある無尽蔵の魔力が――
「いやすばらしい――俺の願いの為に貰うぞその力を。捕縛しろ!」
「ーッ」
乱土が術式を発動させると、俺に黒い鎖が絡みつく。
「では、失礼――」
乱土は手を伸ばしてくるが、俺に触れると昨夜の聖夢の時のように弾かれた。
「・・・精神干渉の術が効かないのか。ファングの報告は正しかったとうだな」
「がああああああああああああ!」
俺は鎖を壊し乱土に斬りかかる。
「おっと、あぶないあぶない…」
しかし俺の振るった剣はかわされ、空を斬る。
「力を得るのが無理ならここに用は無い、違う力を捜すか…。じゃあな」
「ま、まてっ!」
乱土は一瞬にしてその場を立ち去った。
だが肉体の強化によるものならまだ――
「ゲエエエエエエエエ…!」
目の前に一匹の大蛇が現れた。
「デッカイの…そこを――」
俺は剣を上に構える。
「――どけええええええええええええっ!」
「ゲアアアアアアアアアアアアアア――――!」
そして下に振るい、黒い斬撃を大蛇に飛ばして真っ二つに斬り裂いた。




