11.末長く
二人で家に帰ってから、数日が経った。
「リ……レオ、今日はどこまで行く?」
花凛は楽しそうに尋ねながら、装備を整えていく。
「そうだね。今日は濃黄層より少し先まで行ってみようか」
「本当? 楽しみ!」
花凛の笑顔を見て、レオも嬉しそうに微笑んだ。
あの日以来、レオは仕事の一部を灰青に任せるようになった。
「銀杏の大宮司、最近やたら俺に仕事くれますなぁ?」
そう嫌味を言いながらも、仕事を引き受けてくれているらしい。
「彼女と一緒に過ごす時間を作りたいからね」
「……まあ、お姫さんのためなら、しゃあないか」
灰青の中では花凛とレオは命の恩人に昇格されたらしい。それを余すことなく利用するレオに苦笑しつつも、そんな風に一緒にいる時間を作ってくれているのは嬉しかった。
(灰青さんにも、お土産とってこようっと)
そして、陰ながら尽力してくれる灰青に感謝しながらも準備を終えた。
「レオ、無理してない?」
「大丈夫だよ。今まで俺が抱え込みすぎていただけだから」
そう言って、レオは花凛の手を取った。
「それに、花凛と一緒にいる時間は、俺にとって仕事より大事だから」
「……もう、レオったら」
花凛が目を少し逸らしたのを見て、それすらも愛おしそうにレオは笑う。変わったことと言えば、もう一つ。レオは花凛のことを名前だけで呼ぶようになった。花凛にはそれが少しくすぐったくて、まだ照れてしまう。
「さて、行こうか」
二人は並んで、十三比良坂へ歩き出す。
今日もきっと、たくさんの魔物が待っている。
どんな魔物に出会えるのか。
どんな魔法石が手に入るのか。
花凛は胸を弾ませながら、繋いだ手をぎゅっと握った。
「行こう、レオ」
「うん。今日も二人で、ゆっくり楽しもう」
お揃いのチョーカーを煌めかせながら、二人は笑顔で歩いていった。
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