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第一幕:四角い世界 第一章:物理法則(サラ視点)

 なによここ!?地面も、雲も、太陽までが四角いんだけど!?

「ちょっとゼン!いつまでもジーッと立って考えてないで、早くどうにかしてちょうだいよ!」

「だから、どうにかしろなんて言われたって、俺だってここがどこかもわからないんだぜ?」

 あぁ、もう!どういうこと?私が今日は剣道部が休みだからって生徒会室でゼンの手伝いをしてたら、いきなり大きな音がなって、街が小さな立方体の粒になっていくのから逃げてたら、大きな穴に落ちて……。気づいたらこんなところにいた。

「はぁ、もう!なんでこんなときに限ってミラはいないのよ……」

 ミラは、中二になったとき転校してきた、私やゼンよりも優秀な生徒だ。たまに常識はずれなところや、上から目線の話し方になることもあるが、レベルも近くて話しやすい。しかし、きょうは昼に早退してしまった。

「まずはこの世界に慣れることが必要みたいだな。例えば、ほら。体が全部直方体でできていて、手がないこととか。」

 ゼンの言葉に驚いて、自分の手を見てみると、確かに手がない。

「はぁ!?手がない世界でどうしろって!?竹刀も握れないじゃない!」

 するとまたゼンが言う。

「その代わり、身体能力は劇的に上がってる。」

 たしかに、ジャンプをすれば体の半分以上の高さには余裕で飛べるし、ダッシュをするとものすごいスピードで走ることができる。それに……

「ねぇゼン。目をつぶってみて。」

 目をつぶると、視界にたくさんの枠が浮かび上がる。私達はこれを「イベントリ」と呼ぶことにした。そしてその上には、なかが空いている剣のようなものが浮かび上がっていた。

「ああ。でも、俺には剣の形なんてないぜ?その代わりに俺には……なんだ、これ?設計図、みたいな枠がある。」

 ゼンにはあって私にはないもの、か。二人で使い分けろ、的な感じ?

「待ってゼン。私の剣の枠、時間が立つにつれてだんだん黒いので埋まっていってる。」

 もしかして、完全に埋まったらなにか能力を発動できる……とか?

「もしかすると、完全に埋まったらなにか能力が解放されるとかか?」

「それ、私も今思った。完全に埋まるまで待ってみる。」

「わかった。その間に俺はこの世界の法則がどうなっているか、確認してみる。」

 この世界の法則はゼンにすべてを任せることにした。私には全くわからない。

 枠が埋まるのは、意外と早かった。

「ゼン〜!埋まったわよ。」

「もう埋まったのか?思いのほか早いな。」

「で、これをどうすればいいの?」

 埋まったのはいいとして、ここからどうすればいいかがわからない。

「押すか、なにか言うかの、どっちかだと思うが……。」

「押し方なんてわからな……あ!なんか黒い点みたいなのがあるわよ。これで押せるかな?」

 いまさら気づいたのだが、目をつぶると出てくるイベントリの中に思い通りに動かせる黒い点のようなものがあった。それを剣のマークに合わせ、ぐっと押し込むようにする。

 すると、かち、と押したような感覚があって、イベントリの横に剣が光っているようなマークが現れた。

「何かしら、これ。」

「なにか体の感覚とかに変化とかはないか?」

 そう言われてみれば、確かに体や腕が軽くなったような、そんな感覚はある。

「でもそれだけで、そこまで身体能力が上がった感じもしないわね。」

「へぇ……。まぁなにか、他の使い道があるのかもしれないな。」

「ところでゼンはなにか収獲があったの?」

私がたまるのを待っている間、ゼンはそのあたりを探索していたはずだ。

「あぁ。かなり大きな収獲はあったぞ。俺らの常識をひっくり返すくらいのな。」

 確かにゼンが発見したのは、驚くべきこの世界の物理法則だった。数回殴るとヒビがはいって壊れアイテム化して、それに近づくとベルトに飛び込んできて、こんどは軽く叩くとまた大きくなって置ける(くっつけられる)という、おそらく、この世界で生きていくためには、必ず必要だろう知識だ。

「へぇ、面白いじゃない。」

 そういったところで、ゼンに重大なことを思い出さされた。

「おい、俺達がここにいるのはこんな遊びをするためじゃないんだぜ。早くこの世界から抜け出して、街を襲撃者から取り戻さないといけない。」

 そうだ。私達はこの世界へ遊びに来たわけではない。

「でも、どうやってこの世界から元の世界に戻るっていうの?それに戻れたとしてもあいつらに対抗する手段なんてないわよ。」

「これは完全に俺の直感だが、俺達の街を襲撃した奴らは、この世界にいると思うんだ。世界が崩壊するとき、小さな立方体になっていたのを覚えてるか?」

「えぇ、たしかにそうだったわね。まぁいいわ。そうでも、そうでなくてもこの世界で生きていくことが必要みたいね。」

 そういった瞬間、私の目の前をいきなり矢が飛び抜けていった。

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