第一幕:四角い世界 第一章:物理法則(カイ視点)
目が覚めて、初めて目に入ってきた景色は見たこともない……いや、あり得ない景色だった。
「何だここ!?全部が、し、四角い!?」
そしてすぐに、なにがあったかを思い出す。
「世界が粉々になっていって……リオといっしょに逃げて……っ、リオは!?」
リオは、その大きな立方体の上で倒れていた。
「リオっ!大丈夫!?」
するとリオはもぞもぞと起き上がって、自分と同じように驚いた。
「え!?なにここ!? 全部が、し、四角い!?」
「そう。なんか、物語でよくあるじゃん?『転生したら〇〇だった件』みたいなの!まさか自分がこんなことになるとは……。」
もしこれに題名をつけるとしたら
『全部が四角の世界に転生してしまいました!』か
『転生したら全部が四角の世界だった件』みたいな?
「か、カイ!?大丈夫?頭ぶつけたの!?」
「ねぇ、リオは
『全部が四角の世界に転生してしまいました!』か、
『転生したら全部が四角の世界だった件』のどっちがいいと思う?」
「はぁ?なに言ってるの!?ほんとに大丈夫?」
「大丈夫だって。でもここ、どこなんだろう?」
こんなに四角しかない世界、本でも読んだことないし、ましてや見たことなんて絶対ない。
「ね、ねえカイ!」
ジャンプをしてみると、身長の半分くらいは余裕で飛べる。さらに、走ってみると驚くような速さで走れる。
「ちょっと、色々調べてみようよ。」
そこからしばらく調べてみたところ、いろいろな発見があった。
まず、「インベントリ」。これは目をつぶると視界に現れる、たくさんの枠と、2×2マスの枠だ。2×2のマスは僕にだけあって、リオにはハートマークや気泡のマーク、盾のマークなどがたくさん枠の上に浮かび上がっているらしい。ほかにも腰のベルトには、ポケットが9マスあって、これは目をつぶらなくても見ることができる。
次の発見がとても大きかった。この世界で生きるための基本と言ってもいいだろう。リオが、ある一言を言ったのがそれを発見するきっかけとなった。
「ねぇ、この立方体って外れるかな?」
「さぁ?やってみようか。」
そう言ったものの、この体には直方体の腕があるだけで、手はない。それに、もしあったとしても、立方体と立方体の間には隙間なんて1ミリもない。
「あぁ、もう!どうやるの?」
そう言ってリオが力任せに土の地面を殴った。すると、驚くようなことが起こったのだ。
「「え!?」」
殴った立方体のところだけ、きれいな放射線状のヒビが入ったのだ。
「リオ、もう1回地面を殴ってみて!」
「う、うん。」
リオがもう一度殴ると、ヒビが入った立方体はそこだけがきれいな立方体の穴になり、その中にはさっきのブロックよりかなり小さな土の立方体がフワフワと浮いていた。
「なにこれ……。」
その浮いているブロックに近づいてみると、ぴょん、とベルトのポケットに飛び込んできた。
「うわっ!びっくりした……」
でも、重さは全く感じない。
「多分、この世界では殴るとヒビが入って、そのヒビが一定の量入ったときにブロックが壊れてアイテムになるんだ!それに、わざわざ取る必要もなくて、近づくだけでアイテムがベルトに入る!」
これはすごい。ほんとに本の中の主人公になった気分だ。
「へ、へえ……。よくわかんないけど、カイ、すごい適応力あるね。」
当たり前でしょ!
「だって本の中みたいな体験が実際にできるんだよ?すごくない?」
「う、うん……。あ、夕日だ。四角くても、きれいなんだね。」
「うん。いやぁ、いい日だった……」
そう言ったところで、重大なことを思い出す。
待てよ。僕達は今、なんでここにいるんだ?街が襲撃され……あっ、他の街の人達は!?僕の頭の中で、街から逃げるときに聞こえた、人々の悲鳴がよみがえる。
そうだ。こんなところでダラダラしているひまはない。
「リオ!早く街に戻ってみんなを助けなきゃ!」
「で、でもどうやって?」
リオに言ったあとで、今自分がどこにいるかを思い出した。
そうだ。今、僕達は二人だけで右左もわからない世界にいるのだ。ならば、どうやって……。
「グルルルル……」
僕の思考は、そんなうめき声によって途切れた。
こんにちは。山川あきひろです。前回、カイとリオの街は襲撃され、逃げているとちゅうで大きな穴に落ちていってしまいました。そしてその下は、すべてが四角い世界でした。カイたちはさっそく世界に馴染み始めますが、どこからともなくうめき声が聞こえてきて…カイたちはどうなってしまうのか、そしてこの四角い世界にいるのはカイたちだけなのか…!?
ぜひ次をお楽しみに!お読みくださりありがとうございました〜!




