第7話:虚構の空(1/4)――「祭典のノイズ」
1. 嵐の前の静寂
隔離病棟から生還したレイジ、九条、風間、そしてリア。かつての敵たちは、Fクラスの地下施設で傷を癒していた。システム上は「死亡」または「再調整中」として処理されている彼らにとって、ここが唯一のデッドスポットだった。
「……最悪。2位の私が、こんな湿っぽい地下室でインスタント麺を食べるなんて」
リアは文句を言いながらも、レイジが差し出した食事を口にする。九条は端末で学園祭のデータをハッキングし、風間は黙々とリアの護衛として周囲を警戒していた。
2. 学園祭「オラクル・フェス」の開幕
地上では、学園創立記念祭が華やかに開幕していた。空にはナノマシンによる巨大なホログラムが踊り、街全体が「幸福な演算」に包まれている。だが、その空の裏側では、白鷺迅が告げた「再起動」のカウントダウンが、不可視の数式として刻まれていた。
「見てよ、レイジ。空の描画データが不自然に重い。これ、ただの演出じゃないよ。学園中の全リソースを一点に集約するための、巨大な**『儀式』**だ」
ロジが震える指で空を指差す。
3. Fクラスの出陣
「祭りのど真ん中で、白鷺が何かをやらかす。……あいつのツラを殴らねえと、俺のロマンが完結しねえんだ」
レイジが立ち上がる。その右腕は、白と黒が混ざり合った「灰色」のまま、静かに拍動していた。
「……仕方ないわね。私の熱を、あんな冷徹なシステムに利用されるのは癪だわ。貸しにしておくわよ、Fランク」
リアが立ち上がり、九条と風間もそれに続く。かつての十傑たちが、システムを破壊するための「バグ」として、光り輝く地上へと足を踏み出した。
4. 偽りの青空
演習場中央の特設ステージ。そこには、純白の衣装に身を包んだ白鷺迅が、全生徒の前で演説を始めていた。
「諸君、ついにこの時が来た。不完全な個を捨て、我々は一つの『完璧な演算』へと統合される。……新世界への再起動を開始する」
白鷺が手を掲げた瞬間、空を覆っていたホログラムが剥がれ落ち、そこには巨大な「眼」の形をした演算核が姿を現した。




