表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

12/13

悪魔Σ

 すみません、他に20話くらいの中編を書いているので、更新が遅れてます。

 ピクニックの夜。

 今回、俺達はグループごと、男女に分かれてテントで睡眠する。

 どのグループも男女二人ずつなので、一人で寝る人はいない。


「あのくじ、本当に公平だったのか……?」

「まあいいじゃないっすか。多分色々考えて組み合わせてくれたんすよ」


 天上先生、まだ底知れないところがあるんだよな。

 王が突っ込んだ時も、しれっと翼で受け止めてたし、授業は分かりやすいし。

 あの人、どれくらい強いのだろう。隕石を破壊できたのだろうか。

 スペラの規格外の破壊力を見て、脳がちょっとバトル漫画よりになっているかもしれない。


「うちのクラス、最強は誰なんだろう」

「スー」


 俺が呟いた独り言は、夜闇に消えた。

 隣を見ると、スペラは既に眠っていた。

 あんな大魔法を使ったんだ、俺には素振り一つ見せなかったが、疲れていたのかもしれない。

 コイツ、結構可愛いな。顔小さいし、まつ毛ながいし。


(いかんいかん、違うことを考えよう)


 やっぱり、スペラの魔法は凄かったなぁ。

 勝てる人はいるのだろうか。


(三首ならスピード勝負できそうだな。スピード型の三首に勝てそうなのは……耐久型? リッキー? でも、三首の最大火力を見たことがないから、何とも言え―な――)


 バカなことを考えているうちに、意識が遠くなってきた。

 普段とは違う場所で、いつもよりも時間がかかったけれど、これでやっと眠りにつけそう――


ザッザッザ


 外の足音で、目が冴えてしまった。

 誰か外にいるのか? いや、それにしてはのっそのっそとしていて、足音の主は大型の動物なのではないかと思わせる。


(もしかして、クマ? そういえば、山には凶悪な動物がいるから、近づくなって三首が言ってたような……)


ザッザッザ


 足音が遠のく気配がない。

 やっぱりクマか?

 ……このままじゃ絶対寝れないし、いっそのこと外に出て、自分の目で正体を確かめるか。

 もしかしたらリッキーとかかもしれないし。うん。

 最悪隣でぐっすり寝てるスペラを起こせば、撃退してくれるだろう。


 テントの幕を引いて、目だけを出すと――そこには大きな人影が。


「ギャー(小声)って、人間か」

「おお、起きているのがいて良かったぜ。ライト持ってないか?」


 外で歩き回っていたのはクラスメイトの一人、野崎蛮(のざきばん)だった。

 世界一のヤンキー高校から来た、世界一の不良である。

 数年前に世界の不良校全てを蹂躙し、世界制覇を成し遂げた最強の不良集団『悪魔Σ(シグマ)KAI』の三代目総長。

 柔らかい態度とは裏腹に、とんでもない圧がある。

 まあでも、ヤクザとかヤンキーって頭までいくと一周回って理知的になるから、急にカツアゲされるとかは無い――ハズ。


「どうしたんですか、こんな時間に」

「ションベン行くためにテントを離れたら、帰れなくなったんだぜ」

「なるほど」

「けど、もう大丈夫そうだ」


 野崎君が空を見上げていたので、つられて見上げると、雲に隠れていた月が姿を現した。

 街灯が一切ない山では月の有無で、全然明るさが違う。

 これなら帰れるだろう。


「じゃあ、お休み」

「待て」


 ちょっと怖かったので、さっさとテントに引っ込もうとしたら、呼び止められてしまった。

 野崎君がシビアな顔で下をさしたので、見てみると――血痕があった。


「……何ですか?」

「血痕が続いている、追おうぜ」


 血を追って、野山を降りていく。

 リッキーほどではないが、野崎君もかなり大きいため一歩一歩が大きく、地味に付いていくのが大変だ。

 かなり血が流れている。医浪を呼んでおこうかな――な――。


「やべ、スマホ置いてきた」

「え……オレも当然持ってないし、月が隠れたら帰れなくなるぜ」

「一回取りに戻りません?」


 提案した瞬間、月が雲で隠れた。暗くて超至近距離しか見えない。


「……どうします? 血痕は辿れるから、一応戻れるとは思いますけど」

「いや、血の量からして、危険な状態である可能性が高いんだぜ。ここまで来たら、怪我人を助けるのが優先なのぜ」

「分かりました」

「……オメー、そんな敬語で話すキャラだったか?」

「違いますけど」

「ならやめろ。普段の言葉遣いでいいぜ。君付けもいらん」

「分かった……君付けはそのままでいい? 野崎君って、収まりがいい気がするから」

「自由にするのぜ」


 割とフランクな人だったと胸を撫でおろしていると、血痕の主が見えてきた。

 それは、一匹の猫だった。

 全身から血を流し、大きな岩に持たれかかっている。息が荒い。

 あまり詳しくはないが、かなり危険な状況ではないか。


「ヤベえ! 医者を呼んでくる!」

「その必要はないぜ」


 野崎君は、急に腕をパキパキと鳴らしてから、その拳を大地に叩きつけた。


「オレの舎弟、出てこい銅物相御(どうぶつあいご)!」

「ヘイ兄貴、お呼びですかい?」

「うわ!?」


 虚空から急に人が現れた。

 リーゼントに学ランの、典型的不良である。

 野崎君は何でもないように、現れた銅物君に指示を出した。


「猫が倒れてる。助けてやれ」

「分かりやした! こりゃあ、同じ猫相手か? かなり手ひどくやられてますぜ」


 銅物君は、手慣れた手つきで猫の手当を開始した。優しい不良だね。


「って、どこから来たのこの人!?」

「オレが日本から呼び出した。総長ならこれくらい当然だぜ」

「懐かしいパロディまでして……」


 今まで魔法だとか科学だとかで一応理論づけしてたのに、ここにきてガチの特殊能力が来たな。

 無意識で魔法を使ってるのか、ジョブに『総長』って付いてて、そのスキルで舎弟を呼び出せたりするのか。

 そんな妄想をしている間に猫の手当は終わっていた。

 さっきまで死にそうになっていた猫が、弱弱しくも鳴き声を上げた。


「にゃあん」

「よかった。とりあえず回復したみたいだな」

「つっても、まだ弱ってますよ」

「しょうがねえ、回復するまでオレが面倒を見るぜ」


 野崎君は慣れたように銅物君から猫を受け取って抱きかかえ、撫でまわした。

 完全に慣れている人の手つきである。さては、よくやってるな。


「じゃあ、戻るとするか。相御も帰っていいぞ、ありがとうな」

「にゃん! にゃあん!」


 野崎君が集まりを締めようとした時、猫が急に泣き叫び始めた。

 傷にでも触ってしまったのかと思ったが、どうやらそうではないらしい。


「……何かを、伝えたいのかな?」

「相御、分かるか?」

「任せてくだせえ」


 相御君が耳を猫の口に近づけた。

 目を閉じて、にゃあとしか言わない猫の鳴き声を、真剣に聞く。

 数分間それを続けてから、真面目な顔で『なんとなくでしか分からないんですが』と前置きしてから、話始めた。


「猫が人間に反乱を起こそうとしてるらしいです!」

「な、なんだってー!」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ