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第九章 宮田1
インターホンの音が乾いた空気に吸い込まれる。
しばらくして、木の扉が少しだけ開いた。
「……誰?」
加納が警察手帳を見せると、扉の向こうの男――宮田は顔をしかめる。
「はあ……やっぱり、来たか。
警察が今さら“あのこと”を掘り返すとはね。
信じてもらえないよ? 俺の話なんて」
戸を開けながらも、宮田は軽い口調で笑う。
「死人が歩いた、だなんてさ。世間様は笑うか、怖がって信じたふりをするだけ。
あんたたちも、似たようなもんだろ?」
加納が一歩踏み出し、静かに言った。
「俺たちは、今まさにその“死人”に人を殺されてるかもしれない。
一人は首を吊られて、仲間は行方不明。
“似たようなもん”で済ませる気は、こっちにはないんだよ」
その言葉に、宮田の笑みが消えた。
「……あんた、本気で言ってるのか」
「冗談を言いに来たと思うか? ふざけた軽口叩いて時間を無駄にするなら、帰る。
けど、あんたが見た“本当のこと”を教えてくれるなら、こっちは真剣に聞く」
沈黙。
宮田の目が加納の眼差しに射抜かれ、微かに揺れた。
「……じゃあ、中に入りな」




