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第八章 過去を知るもの3
県境を越え、緩やかな山道を進む車内。
加納は助手席で腕を組み、窓の外を見つめていた。運転する長谷が静かに口を開く。
「……どう思う? 本当に、生き返ったと?」
「そんなことは思ってない。けど……“死んだ”とも思えない」
加納の目は、曇り空に浮かぶ樹海の影を追っていた。
「失踪現場。証拠隠滅なし。監視カメラの記録なし。
それでも“逃げた”痕跡だけがある。
死体なら、動かないはずだろ」
「けど、それでもJは……“還った”ってことか」
加納は何も言わなかった。
ただ、その目はすでに、15年前の真実に手を伸ばそうとしていた。




