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アリサ伝説

この村に伝わるアリサ伝説。


いつの間にか語られるようになったアリサさん。


サライちゃんと共に親から子へ伝わる昔話だがこちらは比較的新しい。


そうサライちゃんのように古めかしくはない。


サライちゃんが旧西湖村誕生頃だとすればアリサさんは山湖村ができてからの話。


そう伝えられている。



アリサ伝説。


時は山湖村が独立して何年かが経った頃。


アリサと名乗るそれは美しく若い女性が村を訪れた。


聡明で麗しいアリサは村でたちまち人気者になり男を虜にしていく。


それを目の当たりにした女たちは嫉妬す。


髪は金色で夕陽に輝く姿形はまるで天女のよう。


次第に村の権力者の目にも留まり大きな大きな屋敷に招き入れられる。


行く行くは当主の嫁になるのではと噂されるようになる。



しかし危機感を覚えた一部の村人に根も葉もない噂を流され嫌がらせを受ける。


泣く泣く別れる事となった。


その当時お腹には新たな生命が。そのことをを知った当主。


せめてもの罪滅ぼしとして身籠り行く当てのない彼女の為に住処を。


東の端に立派な屋敷を作らせそこに住まわせた。


不都合な存在の彼女を閉じ込めたとも言われている。


こうして村に留められ館に閉じ込められたアリサは自由を奪われた復讐を誓う。


古より伝わるサライ伝説に則り村の宝である子供を夜な夜なサラウ鬼となった。



突然の消失に村はパニックの陥る。


閉ざされた村では裏切者やよそ者が狩りの対象になってしまう。


逃げた? 隠した?


連れ去った?


食われた?


もう誰も信用できない。


たとえ昔から家族のように親しかったお隣や仲間さえも。お互い疑心暗鬼になる。


ついには現実を受け入れきれずにサライさんを呼び寄せてしまう。



サライさんだ。サライさんだ。


サライさんが現れた。気をつけろ。


サライさんが村の子供たちをサラって行く。


助けてくれ。助けてくれ。


サラワないでくれ。サラワないでくれ。


恐怖した村人。



意を決した権力者の男と村長らがアリサの屋敷を訪ねる。


アリサ。アリサ。アリサ。


子はどこじゃ? 儂らの子をどこに隠した? 村の宝。村の子らはどこじゃ?


アリサは答えぬ。アリサは答えぬ。


屋敷中いくら探してもどこにも見当たらない。


ここではないのか? ならば一体どこに?


アリサはただ微笑むのみ。


答えぬか。


何でしょうこんな夜に大勢で我が家へ。これはおもてなしをしなくては。


お・も・て・な・し おもてなし。


アリサは正気ではなかった。完全に狂っていた。


いやそんな風に感じただけ。アリサだってきっと演じていただけだろう。


村長らはアリサの異常性に気付き恐ろしくなり屋敷を後にする。



その後いくら村中を探し回っても一っ子一人見つからず。


仕方なく再びアリサの屋敷へ。


アリサ。アリサ。


アリサはどこだ? アリサはどこだ? 子を返せ。


屋敷中を隈なく探し回ったが子供たちを発見するには至らなかった。


一体子供らはどこへ行ったというのか?


謎の失踪事件。


結局子供たちは見つかることも帰ってくることもなかった。


これはサライちゃんの呪いだとかアリサさんの怨念だとか噂されるようになった。



サライの神隠し。


アリサのイリュージョン。


いつの間にかアリサも村から姿を消したのだとか。


お終い。


村に伝わるアリサさん伝説より。



助手は寒気がすると言って勝手に横になってしまう。


コウも儀式があると言ってそそくさと出て行ってしまった。


ボーっとしてるとルーシーが戻ってきた。


「ベリー、ベリー、ワンダフル」


シャワーですっきりしたルーシー。満足してもらえて何よりだ。


「ルーシーさん。夕食に行きましょう。そこの男を起こしてください」


「オーケイ。ヘイ、ゲラ」


「あーもう。先生ったらそんな乱暴に起こさないでくださいよ。


せっかく気持ちよく寝ていたんですから。あれ…… アリサ? 」


「ノー。ルーシーよ。アリサ…… ってダレネ? 」


怒ったように見えたルーシーの表情が一瞬凍り付く。


「いいんだよ。彼は夢を見ていたんだ。いちいち付き合い切れない」


「先生…… 」


「さあ夕食に出かけるぞ支度をしろ。いつまでも見てるんじゃない。


いくら浴衣が可愛くてセクシーだからって見とれてるんじゃない。危ない奴め」


「先生…… 何を…… 何を言ってるんですか? 」


立ち上がると恥ずかしそうにルーシーを見て次に私を睨む。


怒って先に行ってしまった。


困った奴だなあまったく。



再び惨劇の夜が始まる。


                 続く

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