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に、しても。
どの魔法がなに属性なのか、なんて質問されることがあるのか。学生と接する機会があるみたいだから、最低限の教養は求められるのだな。その最低限の教養がないんですけど俺。
魔法については、ダストくんにざっくり説明してもらったのと、ナジさん家の本を斜め読みしたのの知識しかない。そうか、一般教養程度の知識は必要か。でも、本屋さんではお料理の本ばっかり買っちゃったからな。あの本屋さんで、基礎の基礎な魔法の知識の本でも買おう。魔法入門的なの。
折角なので、市場に寄った。以前の活気が戻りつつある。ただ、やはりまだ近在の村から荷物を運んでくるひとは少ないらしく、売られているものは偏りが酷かった。今朝は、蕪、大根、キャベツ、豚か牛の内臓、ばかりだ。揚げパンとか、軽食の屋台は復活していた。地べたにじゅうたんをひろげて座り込んだ、アクセサリ屋さんと、靴磨き屋さんもある。
食材を買い込んで収納する。サッディレくんは手持ちのエスターで髪飾りを買おうと、しゃがみ込んでアクセサリ屋さん相手に値段交渉中だ。「おにいさん、これ俺に似合うと思わない?」
「おお、ぴったりだと思うよ。赤い髪に映えるねえ」
「じゃあさあ、ちょっとだけまけてよ。ちょっとだけでいいから」
「うーん、こっちも商売だからな」
「あ、じゃあさ、また来るから。だめ?」
サッディレくんは可愛らしく小首を傾げる。髪の毛がさらさらした。「いや、いや。それでもう一度来た御仁にお目にかかったことはないね」
「ええー?あとエスター30個だけ、そんだけ足りないっす。お願い!」
「うん?もしかして、お前連邦の出か」
アクセサリ屋さんは顔をほころばせた。サッディレくんは小さく頷く。
「うん」
「そうかあ。じゃあ後15個だけまけてやるよ。残りの15個は次来た時でかまわないぜ」
「いいの?……おにいさんもロア出身っすか?」
サッディレくんがエスターを渡し、立ち上がって。金色のコームでちゃちゃっと髪をハーフアップにする。コームには淡い緑の石がついていて、きらきら綺麗だった。
アクセサリ屋さんはにやっとする。「ああ。客商売なんで、言葉は直したよ。お前ももうちょっと訛りをなんとかしたほうがいいぜ」
「頑張ったけど無理」サッディレくんは軽く返し、くるっとまわる。「似合うっすか」
「おうよ。ひいきにしてくれよな」
サッディレくんってなまってるんだ。全然解らない。自動翻訳されてるからな。
アクセサリ屋さんはお安い値段できらきら綺麗なものを沢山売っていて、俺も指環やなんかを買った。もと・娼妓のふりはお仕舞だから、安全の為につけておくつもり。




