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テーブルに食器を並べた。鍋敷きを置いて、お鍋を出す。「できましたよ」
「やった!サニエル、リアム、起きて」
ルネくんがふたりを揺さぶった。ジャヤさんとレミアンさんは席を立って、中庭で手を洗う。
寝ぼけ眼のリアムくんサニエルくんが、俺がお鍋の蓋を開けると覚醒した。「旨そうな匂い!」
「夜食?」
「うん。きのこのご飯と」
「食べる!」
説明前に三人ともとんできて、席に着いた。ジャヤさんとレミアンさんが戻ってくる。「おいしそうだな」
「お口に合うといいんですけど。はい、どうぞ」
五人の前に、きのこの炊き込みご飯をよそったお皿と、豚汁をついだスープ皿、お匙を置いていく。「おかわりありますからね」
五人は手を合わせ、お祈りを捧げた。
過払い分をまとめた羊皮紙を紐で綴る。精査済みの帳簿は収納した。
「かなり減りましたね」
「うん。この調子ならわたしとルネが眠ってる間に終わるかもね」
「そう巧く行くかな」
レミアンさんはジャヤさんににやっとして、炊き込みご飯を頬張った。「うん、旨い」
「ぴりっと辛いのがおいしいなあ」
裾野のひとって、唐辛子に強いんだよね。裾野ふうのお料理って唐辛子が多くて、パンが沢山ないと食べられなかったりする。俺には辛すぎて。
なんとなく前庭への扉を開けて、空を見た。月は出ていない。空気はきりっと冷たく、雲もないし、星の光は眩い。明日も晴れそうだな。
ぼーっと夜空を仰いでいると、突然鐘が鳴り始めた。
十秒くらい茫然としていたが、レミアンさんの言葉で我に返った。「こんな時間に下働きの募集か」
「数が減ったんでしょう」
下働き……鐘……。
御山の下働き募集か!まじで?よなかに??
俺はおたついて、五人を振り向いたり、鐘の音がきこえてくるほうを見たりした。下働きの募集なら、行かなくっちゃ。そもそもレントまで来た目的は、御山にあるかもしれない異世界についての資料を見ることだ。
「あの」
収納空間から毛皮のローブをとりだして羽織った。フードをかぶる。「すみません、俺行かなくちゃ。それ、全部食べちゃっていいですからね!」
云いおいて外へ出た。息が切れない程度に速度を出して、中央へ向かう。急がないと、前みたいに募集が締め切られてしまう。次はいつか解らないのだ。この機会を逃してはいけない。
地図は覚えているから、ショートカットしようと思えばできる。でも、大きな通りなら街灯は絶対あるし、警邏隊が巡回していることも多い。だから安全をとって、大きな通りを歩いた。




