表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
850/6887

809

 

 お茶の時間だ。休憩にしましょうと号令をかけると、五人は一斉に伸びをした。「うーっ、肩がこる」

「もんでやろうか、ジャヤ?」

「レミアン、手を切り落とされてみたいんならやってみるといいわ」

 ジャヤさんとレミアンさんは軽口を叩き合い、仲好しだ。若手三人も、こづきあったり、髪を引っ張ったりして、子猫みたいにじゃれあっている。

 厨房へ行こうとすると、リアムくんがついてきた。「マオ、手伝わせて」

「え?いいよ」

「俺ん家、宿屋やってたんだ。お茶なら淹れられるよ」

「んー、じゃ、手伝ってもらおうかな」


 自分から云うだけあって、リアムくんはお茶を上手に淹れた。

 厨房の天井を見て、わー、と、歓声を上げる。「天井が高いなあ。うちはもっと小さかったよ。ふた棟もなくて」

「リアムくんは、レントの出身?」

「ううん。田舎の村。名前云っても解んないと思う」

 カットした梨のパイをお皿へ移す。香りはいいけどちょっと水っぽい梨を、糖蜜でくたくたになるまで煮込んでフィリングにした。折りパイで、さくさく感がおいしい筈。

「今はやってないんだけどね」

「うん?」

「俺、小さい時に病になって、村の癒し手じゃ治せなくってさ。レントなら治せる癒し手が居るかもしれないって、姉さんが宿屋畳んで、きょうだいでレントに来たんだ」

 リアムくんはティーポットの中身を俺が用意ししておいたボウルへあけ、新しいお茶っ葉をいれる。魔法でだしたお水を注ぎ、魔法であたためる。「レントに住んでる癒し手がだめだったとしても、御山(おんやま)からは偉い学者が降りてくることがある。それに賭けようって云ってたんだ。病で動けないから、乗り合い馬車で移動して。それがない時は、姉さんと兄さんに交互に負ぶってもらったな」

「大変だったんだね」

「うん。でも、レントについて、癒し手に恢復魔法をかけてもらったら、半年くらいで治ったから、よかったよ。お金は、宿を売った分でなんとかなったらしいし。だから、今は恩返ししてるんだ。できたら、宿を買い戻したいなって……俺は覚えてないけど、姉さん達には、親の思い出のある家だからさ」

 リアムくんはティーポットをトレイへのせた。俺は梨のパイのお皿をその横へ置いた。

「だから」リアムくんは食堂へ顔を向ける。「あの帳簿に載ってるひと達の幾らかは、ひとごとと思えない。姉さん達だって、金が足りなかったら、借金してたよ」

 そうだな。借金自体は仕方ない場合もある。どう考えても悪いのは、それにつけこむ悪徳業者だ。

 リアムくんは振り向いてにこっとする。「マオ、そのおいしそうなやつ、俺沢山食べてもいい?」

 いいよと返した。


感想、誤字報告ありがとうございます。励みになります&助かります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
こちらも宜しくお願いします。 ループ、あの日の流星群
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ