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 ゆっくりやすむように、とみんなに説得され、サッディレくん達が用意してくれたお風呂にゆったりつかってから、部屋のベッドで眠った。夢を見ないどころか、眠った感じもしない眠りで、目が覚めるとお祈りの鐘がかすかにきこえてくる。身繕いして、用を足し、厨房へ行った。「おはよーございまあす」

「おはようございますー」

 俺の気の抜けた挨拶に、輪をかけて気の抜けた声が返ってくる。

 目を遣る。アーチの下にツィークくんが居た。

「おお」俺は居住まいを正す。「ツィークくん。おはよ」

「どうも。書類、持ってきましたよお」

 ああ、そっか。仕事がはやい。

 お礼を云うと、ツィークくんは食堂を示す。アーチまで行って食堂をうかがうと、傭兵らしいひと達が五人、席に着いていた。サッディレくんとツァリアスさんで、お茶を振る舞っている。別の、大きなテーブルには、羊皮紙が積み上がっていた。

 ツィークくんを見る。「ありがとう」

「いいえぇ。本来我々がやることです。場所を提供してもらったと思えば、こちらこそありがたいですよー」

「ほんらい……って?」

「どこに犯罪の証拠があるか解りませんからー、どうせ精査はするんです」

 成程。

 俺は頷く。「場所だけじゃなくて、食べものも提供するよ」

「そりゃあ羨ましい」

 ツィークくんは肩をすくめてみせた。


 四月の雨亭は、今日は休業。と云うか、昨日も休業だったらしい。

 どうせ還元過多のせいで客足は鈍っているし、帳簿の精査が優先と、グロッシェさんが休業にしてくれた。でも、折角来てくれたお客さんに申し訳ないので、お弁当を用意しておく。

 れんこん・じゃがいも・たまねぎを乱切りにして、菜種油でよく炒め、じゃがいもに火が通ったら牛肉のうす切りを投入。ざっと合わせて、お砂糖・お醤油で甘辛く味をつける。お砂糖は控えめで。

 うすく焼いた甘くないパンケーキにちしゃを敷いてそれをのせ、粒マスタードをかけ、くるっと巻く。ラップサンドウィッチだ。それを紙で包んで、みっつで銀貨1枚。クッキーの小さな包みもおまけ。

 ツァリアスさんと、様子を見に来てくれたリエナさんが手伝ってくれて、沢山つくったそれを、かごに詰めてワゴンに乗せておく。サッディレくんとアーレンセさんが、表で売り子をしてくれることになった。ふたりはワゴンを押していく。

 朝ご飯食べてないみたいだし、傭兵達にもこれを出そう。俺もおなかすいた。

 スープがほしいので、お野菜をなんでもかんでも乱切りにし、お鍋で炒め、ブロードを注ぎ込む。味付けはお塩とこしょう。それだけでも、いろんなお野菜がはいっているので、えもいわれぬいい香りがした。


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