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それくらいのことなのだ。俺を殺してしまっても、デメリットは大きくない。ひとり、奉公人が減るだけ。例えば、俺が生きていたら御山に大きな貢献をしただろう、みたいな裁定者の言葉でもない限り、おしいことをしたとは思わん。
サフェくんは俺より余程頭がいいだろうに、ショックが大きいのか、飲みこんだ様子はなかった。なお、いいつのる。
「でもこうして、外には出したじゃない。どうしてなの。辞めさせれば、もう充分でしょ? 御山に関われない人間にしてしまえば」
「御山のなかに居るだけが、御山に関われる人間、ってことか?」
「そうでしょ。奉公人を辞めさせてしまえば、自由に御山に這入れなくなるんだから」
金髪くんはちょっと笑って、頭を振った。
「それはおかしい。これまでだって、御山が不埒者どもに攻め込まれたことがあるだろう。そいつらは御山に這入る許可なんて得てない。でも這入った。お前の云うように、自由にな」
ぐっと、サフェくんが詰まった。金髪くんはさほど嬉しくもなそう、というか寧ろ、かなり不服そう、不快そうに、云う。
「そういう例のほうが多いんじゃないか。御山は安全な場所だ。だが、俺達警護班が居る。それは、おしいろうとする愚か者、攻め込もうとする不埒者どもを追い払うのに必要だからだ。そういうことが起こったから、俺達は置かれている。御山がなにもせずに安全な場所であれば、俺達は必要ないだろう?」
「……君達は凄く、役に立ってるでしょ? 無理に空き間へ這入ろうとするひと達を、何度も追い払ってきたし、捕まえてきたじゃない」
「だが何度も破られ、這入りこませてしまってもいる。そういう記録が幾らでもある。こいつにそれができないと、断言できるのか、お前」
サフェくんは俺を見て、数秒間黙り込んだ。「マオは……マオはそういうひとじゃない」
「そういう人間じゃなくても、そういうつもりがなくても、利用されるかもしれない。荒れ地帰りだろう。祭り上げられることはありうる。馘になって恨みに思い、ことを起こすかもしれない。とにかくこいつは、御山にとっては邪魔なんだ」




