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彼の云うことは、わかりやすかった。警護班のひとってこんなに理路整然と喋れるんだなあ、と失礼なことを考えている。もともと入山志望で学のあるひと達が多いというのはわかっているのだが、穏やかに、かつ一応は通った理屈を喋れるひと達とは思わなかった。なんか高圧的で、腕力で会話するようなひと達だと思ってたから。あ、俺に対しては警戒で口が重かっただけ?
サフェくんは納得したのかしていないのか、じっと金髪くんを見ていた。俺は、まあ、多少は納得している。事件が起こってからでないと対処できないのがいいかどうか、という話だろう、これは。
ことが起こってからでは手遅れだと御山は考えていて、起こりもしない、そもそも悪意があるかどうかもわからない人間を、疑いだけで殺すのはおかしいと思うのが金髪くんなのだ。
俺は、証拠がないんだからなにもするなよと思う。しかし、御山にとっては裁定者の言葉が証拠のようなものだ。それを証拠とするかどうか、の違いでもある。武器を沢山集めていて、それをつかうかもしれない、みたいな感覚なのかもしれない。裁定者のその言葉を証拠とするひと達には。
サフェくんは、裁定者の言葉が正しいかどうか調べなかったのかと怒っている。彼は、裁定者の言葉に重きを置き、かつ、正しいかどうかも調べるべきだという考えなのだろう。ひとによるのだ。裁定者が云った瞬間、それを正しいと考えるひとも居るし、チェックが必要だと考えるひとも居る。俺は、人命がかかっているのだからチェックはしろよと思う。
「それに、先生がたの力関係もある」彼はサフェくんから目を逸らし、マグを傾けた。「俺などではどうにもできない」
ふむ、政治的な問題も孕んでいるということか。先生がたのことは俺にはわからんが、奉公人の試験の監督をしているような先生には発言力がありそうだなとか、はいったばかりのヒカリ先生なんかは味方を付けないと意見を通せないんだろうなとか、それくらいの想像はできる。
俺に対して同情的、或いは俺を排除することに反対した先生が居たとしても、その場の空気や派閥の力もある。根回しされていたらどうにもならない、ってことは、あるのかもしれない。これに賛成した先生、反対しなかった先生のすべてが、俺を排除することを心の底から支持している訳ではない、のだろう。
別の裁定者にもう一度訊くのは、お金も時間もかかることだ。それを避けて俺を排除したほうが楽だと考える誰かの発言力が高かった、と。




