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事情はわからんし、裁定者が具体的にどう云ったのかは推測するしかないが、想像はつく。奉公人のひとりを外に出した上で殺す、ということを決めたんだから、余程の結果だった筈だ。
金髪くんは下っ端だから、くわしい事情を知らない。ただし、これが荷運びとは名ばかりの、俺を排除する為のお仕事だということは知っている。ちゃんと説明してからでないと、こんなお仕事させられないだろう。で、少なくともそういうお仕事に不平不満を持たないような人物だと彼は思われている。御山から。或いは、班長から。
見詰めると、俺に責められているととったか、彼は不服そうな目をした。睨み付けてくる。
「こんなばかな話はない。違うか? 血のにじむような努力をして、警護班になって、お前みたいな弱々しい人間を殺せと命ぜられたんだ。俺は殺しをする為に警護班になったのじゃない」
ぴくりと、彼の眉間が震えた。どうやら、怒っているらしい。かすかに歯ぎしりしてから、刺々しい声を出す。
「俺はひとをまもる為に警護班になった。どうしてひとを殺さなくちゃならない。それも、ただまともに奉公人をしているだけの、荒れ地帰りの人間を、騙して殺す意味が、あるのか」
サフェくんが怯えた顔をしていた。でも、彼の剣幕に怯えているのではない。その言葉の内容に怯えている。御山のしたことに怯えている。
俺は、小さく返す。
「荒れ地帰りでも、悪いことをすることは、あると思うよ」
「なら、罪に照らし合わせて罰する。重たい罪ならばまた、荒れ地にやるべきだ。人間が直接手を下す必要がどこにある」
さっきと違い、声音は落ち着いていた。だが、底の部分にまだ、怒りを残している。嘲りみたいなものも。
「もしもそのろくでもない裁定者の云うことが正しいのであれば、お前は荒れ地で殛される。主の力を舐めてはいけない。それは愚か者のすることだ」
彼は、案外、冷静なひとみたいだ。そう。裁定者は簡単に嘘を吐ける。証人などとは違うから。だから、嘘を吐いて、俺を殺す決定を御山にさせることも可能だ。彼の云うことは、俺には筋が通っているように思える。
俺自身は今のところ、こちらの世界の法に触れるようなことはしていない筈だ。ひとを殺したり、攫ったり、財産を奪ったりはしていない。そういうことをすると荒れ地に送られる、というのは知ってる。もっと軽微な犯罪でもそうなるのかもしれないけれど、とにかく俺はなにもしてない。




