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多分サフェくんも、俺が度を失うことをおそれていたのだろう。喚くかどうかはともかく、おかしいよと云って、やっぱりルーレウさんに訊こうとする可能性はある。ルーレウさんは、警護班のなかではめずらしく、俺達に紳士的だった。俺は彼のことを信用している。サフェくんもそれをわかっている。そんなばかな話はない、とでも笑って、ルーレウさんを起こそうとするかもと、おそれたのだ。
だから、あとであとでとひきのばし、ここまでつれてきた。一時間以上は歩いているから、1㎞もはなれていれば御の字か。気付かれていたら、もう捜索がはじまっている。どれくらい距離があるのか……。
金髪くんはマグの中身を飲みほし、こちらへ放り投げた。俺はそれをキャッチして、収納する。残念ながら、洗いものをする気分ではなかった。さいわい、清潔なマグはまだ幾らもあるし、ひとつ洗っていないくらいで不便はない。あとでまとめてお湯でぐらぐら煮てしまえばいいや、と思って、罪悪感にはご退場願う。
彼は口許を拭い、呻くみたいに、やっぱり小さく云う。
「誰かがお前のことを裁定者に質問させた。裁定者が、排除したほうがいいと云った」
「成程」
苦笑いになった。足許を見る。へえ。裁定者ね。
質問がどのような意図だったか、どのような質問だったかはわからない。今、御山には裁定者は居ないから、どこかの裁定者に訊かせたのは確実だ。どこの、どういう立場の、どんなひとだろう。誰が話をつけて、貴重な質問を消費させたのだろう。
まあしかし、つくづく、裁定者に縁があるな。避けて通れないものかね。裁定者は、数が結構多いらしいから、無理なのか。
いずれにせよ、俺が御山にとって不要、どころか、有害だと、その裁定者は云った。そういうことだ。でなきゃこんなことしない。
排除に動く程なのだから、もっと具体的にここが悪いとかこういうことが起こるとか、裁定者が云ったのだ。不要なら、お前馘、ですむんだから、こんなふうに外につれだす意味がない。それくらいは俺だって、少し考えればわかる。
御山にとって本当に悪い結果が出たのだ。俺が存在していることそれ自体が御山にとって悪い、というような。或いは、俺が将来的に、御山に害をなす、というような。俺がなんかする理由、ねえけど。御山って居心地いいとこだし、ご飯おいしいし。




