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「少し、時間のかかる仕事でね」
二の門の手前では、数人の警護班と、警邏隊がわだかまっており、足どめされた。誰か、門を破ろうとしたらしい。警邏隊が現場検証していて、俺達は通れない。
門の向こうからは大きな声が断続的に聴こえていた。まだ、おしいろうとした人間が居るのだ。警邏隊が連行しようとしているが、かなり抵抗している。そういう声だった。入山できた筈だったのに、みたいなことを喚いていて、こういうのは久々な気がするなと、なんだか不思議な気分になる。
空は晴れていた。天気が崩れそうにないのに、ほっとする。馬車をつかえないのなら、雨が降れば濡れていくしかない。ぬかるみを歩くのはいやだった。こけそうだから。転んだって、収納空間内部に影響ないけど、単純に痛くていや。
見覚えのある数人、走って出て行った。警邏隊だ。加勢に行ったらしい。随分、抵抗の強いひとだな。
ルーレウさんはたちどまっていて、俺達もそうだ。警護班も。現場検証からは少しはなれたところに立って、二の門を通れるようになるのを待っている。
ルーレウさんは二の門方向を見て、少し、顔をしかめている。出発時間が遅れるのがいやなのだろう。うっすら焦った様子だった。いらだっているらしい。ルーレウさんは温厚だし、俺達にそういう顔を見せることはあまりないので、意外に思う。
「てまどるかもしれない」
彼はそんなことを云うけれど、その口から具体的な地名や人名は一切、出てこなかった。ここでは話せないなにかなのだろう。ふっと、心苦しそうな表情がかすかにうかんだが、すぐに消える。
サフェくんはルーレウさんを仰ぎ、しかしなにも云わない。表情がかたいが、それをとりつくろおうとしているのがわかった。サフェくんは、緊張しているらしい。警邏隊達は俺達と親しくないし、ルーレウさんは友好的だけれどいつも一緒に居る訳ではない。サフェくんの緊張はわからないようだった。ルーレウさんはいつもよりは声を低めて喋り続け、警護班は黙っているだけ。
サフェくんの緊張はわかったけれど、理由がわからない。さっきまではいつもの荷運びという感じで、このように萎縮してはいなかった。俺が武器を渡して、緊張させてしまったのかな。俺の不安や緊張が、うつったのかもしれない。
警邏隊がまた、数人出て行く。空き間から随分減っているから、大丈夫かと思ったけれど、警護班も居る。上には先生も居るんだし、奉公人にも戦えるひとはいるから、心配あるまい。




