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いつも通り、なかなか声が大きい、サフェくんがびくついたからか、ルーレウさんは声を幾らか低めた。
「申し訳ない。あー、それで、ええと……ひとり足りないが?」
声をかけられ、警護班は肩をすくめた。渋々という感じで、寮舎へ這入っていく。
見送るルーレウさんはやけに、息を切らしていた。上に行って、走って戻ってきたのかもしれない。
さっきと服装が違う。さっきはいつもの格好だったけど、今は、チュニックとずぼん、自前らしい革鎧と、麻らしき丈長でフードのついたローブに、ブーツをはいている。腰には大ぶりな剣を佩いていて、革手袋をしていた。……ネックレスのチェーンみたいなものもさげている。チェーンよりも太めで、先に重りがさがっていた。忍者ものの漫画で読んだ、分銅鎖みたい。
ルーレウさんは俺達へ顔を向け、にこっと笑った。
「マオ、サフェ、もう少ししっかりした衣裳のほうがいい。レントを出るんだ。ただ、馬車では行けないから」
「あ……」
「はい」
成程ね。もしかしたら、長旅になるかもしれない。警護班の機嫌が悪かったのも理由がわかった。
馬車がつかえない場所まで行くのだ。彼は、俺かサフェくんを負ぶう場面が絶対にあるとわかっていて、あんなにむっつり不機嫌そうだったのだろう。
お互いさまだぜ。俺だってできることなら、あからさまに敵意向けてくる人間に負ぶわれたくない。遠慮しないといけないのも、そういうやつにお礼云うのも、やだし。負ぶわれてお礼云わない選択肢ってある? 幾ら厚顔無恥な俺でも無理だ。
とにかくもう少し、旅向けの衣裳にせよということだろう。俺達はすぐに戻りますと云い、一旦寮舎へ這入った。
お部屋へ行って、厚手のずぼんにかえる。なかにうすでのものも重ねているので、ちょっとごわごわするが、歩きにくくはない。それに、安全性は高い。
革のずぼんや、鎧も持っているけれど、俺の体力では流石に動きにくかった。革がはられているずぼん、ためしてみたことあるけど、脚がまともに動かないような感覚だし重たいし、辟易して辞めた。ゲームとかだと革系の装備って、軽くて動きやすいみたいな説明ついてないっけ。
警護班には度々、申し訳ないが、ああいうものを着こなせる体力をしていない。なので、うすでと厚手を二枚重ねが関の山だが、しないよりゃましだろう。布一枚でもあれば、刃の通りは悪くなる……らしい。革のほうがいいのはわかってるが、次善の策だ。魔法も、凍らせてくるのはともかく、火が飛んでくるやつは多少は防げそう。




