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遠出、ってことは、レントを出るかもしれない。奉公人のローブは仕舞っておくか。レントを出る場合、授業や試験に同行するのじゃないなら、奉公人のローブは羽織らない。決まっている訳ではないと思うけど、先輩達は大体そうしている。
ローブをぬいで、収納した。かわりに、裾野っぽい柄もののローブを羽織る。麻の、ざっくりとした風合いのもので、風が通るから、見た目程には暑くない。ふと、不安が頭をもたげたので、ツィーさまから戴いたペンダントを身につけておいた。これ、魔力が底上げされる……んだったっけ。とにかくなにかしら、パラメータに好影響だった筈。まさかまた、あんなばかみたいな事件が起こるとも思えんが、念の為だ。何度もつかったら壊れるとか、ほかのパラメータが下がるとかでもないんだから、身につけておいて損はない。
馬車で行くようなところかもしれないけど、それにしちゃ警護班はちゃんと武装している。歩いていくのにつらいようなところなら、あの態度の警護班に背負ってもらわないといけない。近在の農村とかかなあ。そういうところに研究者が住んでいたりするから、そこへ本を運ぶ、とか、ありうる。
あんまり楽しいお仕事にはなりそうもないな。何日もかかるようなことだったら、ほんとに、息が詰まって仕方ないだろう。互いに。
あちらは俺達を敵視しているし、こちらは身に覚えがないので反発する。大人なんだから流せばいいのかもしれないが、限度というものがあった。失礼な態度の人間に、こっちだけ丁寧に接する意味はないだろう。……って、子どもみたいに素直に頑なになるから、雰囲気がどんどん悪くなる。あっちの誤解が原因で、こっちはそれをどうにかしようにもできないから被害者だと思うのだが、俺みたいに強情なのが全面的に得かと云ったらそうでもない。でも下手に出るのはいやっていうジレンマなんだよな。
こっからどんなふうにお仕事が運ぶのか、想像していやな気分になっていると、サフェくんが心配そうにこちらを見ているのに気付いた。俺はすぐに顔に出るのだ。
サフェくんは自分の収納空間から、小さいガーネットのはまった指環をとりだし、左手の小指につけた。俺は精々頑張って微笑み、籐かごを示す。
「これ?」
「だと思う。……あの、運ぶのって、これですか?」
サフェくんが警護班へ、そう訊いた。警護班は小さく頷く。流石にそれくらいのコミュニケーションはとってくれる。




