6784
まあ、奉公人がするのはめずらしいかもだが、男がアクセサリ屋さんに用があるのは普通だから。カモフラージュにつかって申し訳ないけれど、サフェくんやメイリィさんも誘って、三人で沢山アクセサリを買ったし、変には思われていない。武器屋さんが来て、学生さんが必要なものだけ買って俺達が運ぶとかよくあるぜ。
キョウスケさんはレントを出て、東街道を幾らか行ったそうだ。瞬間移動の目印をつくる為である。魔物を「食べ」ながら、東街道沿いに目印をかなりつくったので、魔力さえ潤沢ならば四回程度の瞬間移動で荒れ地近くまで行ける。
緑珠さん、それにオオウチさんも、協力してくれるそうだ。ふたりは戦いに向いた能力ではないみたいだし、封印だとか瞬間移動だとかも縁がないから、サポートだけどな、と云っていたが、荒れ地文字の文書さがしではかなり頑張ってくれている。
ふたりともお店をやっていて、市場によく居る。オオウチさんはこっちの言葉を喋れないけれど、凄く賢いひとみたいだし、緑珠さんには知り合いの商人も多い。オオウチさんは、とにかく市場内のいろんなところにお店を出して、そこで買いものをしているひと達の荷物にも注目し、古文書を沢山扱っている書店を見付けてくれた。そこに売っていた幾つかの荒れ地文字文書を入手している。
緑珠さんは緑珠さんで、俺をうまいことつかっていた。常連さんが奉公人で、知り合った学生さんに頼まれて資料をさがしてるらしいんだが、と話を持って行って、幾らか資料を入手したのだ。云われたほうは、もしかしたら入山者の研究の助けになるかも、と思って、張り切ってくれる。
まっ、俺は実際、ユラちゃんの資料集めを手伝ったこともあるし、まったくの嘘でもない。そのひと達が期待するようなことは起こらんだろうけれど、ただでせしめた訳でもないのだ。普通にものを買っただけで、こっちは罪悪感を覚えることはない。
それらの資料は、コマちゃんが持っている。内容はたいしたことのない、日記やメモのようなものだ。しかし、そこからわかることもある。どれくらいの年代にどこ辺りにいたのではないかとか、こういう地名が出てきているからこの時期のことではないか、とかね。
俺はこちらの地理に明るくないので、サーカスで世界各地を転々としているコマちゃんに、解読はまるなげしている。コマちゃんもこちらで生まれた訳ではないから、ミチさんやなんかにいろいろと訊いているらしい。




