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警護のことで話し合いかなと思ったが、ランスさんとルーレウさんでそれはちょっと、変かもしれない。
なにかで呼び出されるのかな。彼女が向いていそうなお仕事に、特別に。試験の関係かも。騎馬武者になった学生さんが居るのなら、上まで呼び出されるのはわかる。木工作業場から、木工系職業の学生さんの試験に、奉公人が特別に呼ばれることもあるそうだし。
「とにかく、あれは往生際が悪い」
「リッター」
「資料がないとか、閲覧許可が出ないとか、虫のようにじたばたしている」
虫のよう、というたとえがおかしくて、ふきだしてしまいそうになった。ミューくんの目も笑っている。リッターくんは肩をすくめる。「俺は試験が終わったのに、あれが気になってしまう」
俺とミューくんは目を合わせ、ミューくんがにやっとした。
「そりゃ、そうだろう。友達だからね」
「そういう問題ではない。あれが煩いからだ。しかし、お前のいうとおりかもしれん。ヒカリ先生でも大変だったのなら、ユラには尚更大変だろう。少しは労うことにする」
「それがいいと思うよ」
ミューくんは笑い、俺もちょっと笑った。リッターくんは結局、ユラちゃんを心配しているのだ。だから気持ちが休まらない、ということ。優しい子なのである。
ランスさんが一瞬、こちらを向いたような気がした。
気の所為だろう。彼女はガラ先生に促され、一の門方向へと歩き出す。ルーレウさんとズフダリフ先生が話しながら、やはりそちらへ向かう。ディロさんがそっちから小走りにやってきて、五人に挨拶していた。ファラワさんになにか云い、さーっと、こちらへ走ってくる。一般寮からこちらへ来る理由を考えてみたが、わからない。どなたかに伝言でも頼まれたか。伝糸でもいいようなお仕事でも、頼まれればやるのが奉公人だ。
「一年生達も、進級試験に四苦八苦ですよ」
「そう……」
俺の生返事にも、ミューくんは機嫌を損ねたりしない。リッターくんは相変わらず、表情が乏しいが、怒っている様子ではない。サンドウィッチは口に合ったようで、二個目か三個目を食べている。
「君の弟さんは楽々だったらしいけれどね。なあ、リッター?」
「あれは見栄を張る」
リッターくんは切って捨て、それが面白かったのかミューくんは声を立てて笑った。少々遅れてサンドウィッチをとりに来た警護班が、吃驚したみたいに目を瞠って、さーっとはなれていった。しっかりサンドウィッチを掴んで。




